editalk1-3
HOME CUT(以下H)「曲作る時間って深夜ですか?」
Riow Arai(以下R)「いやそんなことないですよ。昼間。最近はあんま深夜やんなくなってきた。昼間から夜」
H「意外に真夜中の人が多いと思うんですけど」
R「真夜中だと音が出せないから、ヘッドフォンでやるしかないから、ヘッドフォンでずっとやるのも疲れちゃうから」
H「そうですね。音小さめでやります?」
R「いやデカイです」
H「そういえばそうなんですよね、CDの音がデカイって話してたじゃないですか。デカイですよね、ホントに(笑)」
R「(笑)」
H「え、あれはああいう、ホントに出来るんですか、そういうことが? 普通決められた、あの、カットされちゃうわけじゃないんですか? 出来るんですか?」
R「だから限界に挑戦してるんですよ」
H「あれは凄いですね」
R「多分世界一デカイかもしれないですね」
H「いやーそれは凄い。そこもっと言った方がいいですよ。デカイ、音がデカイって凄いですよ。でもそこまで全部自分でやって工場に発注ですもんね」
R「だからマスタリングっていうのをちょっと意味わかんないなと思って。う〜ん、まぁお金もかかるしね。それでも皆頼んでるわけだけど」
H「ありますよね、あの人に頼むとあの音になるからとか。でもそうはしてないわけですよね」
R「だから予算とかね、そういうのいくらでもあればいくらでも試したいけど。とっかかりとしてまず試せないっていう状況があって。それでもう自分でMacに取り込んでオーディオデータにしてCDR
にすれば取り敢えずマスターになるっていう事に99年位からなったから、それでもういいやと思って。自分もそれで満足してるし音的に。だから自分が作ったそのままの音がCDになればそれでいいやと思って」
H「それが出来るようになったわけですよね。機材の進化は素晴らしい」
R「それでまた自分でやったからショボイとかいうのはイヤだから、自己流でそこ頑張るわけですよ 。で、頑張った結果もの凄くデカくなった(笑)」
H「(笑)四苦八苦した中で。素晴らしい話で。しかしホント、デカイっすよ」
R「だからUSのHipHopに負けないぞみたいなのがあったから」
H「なるほどなるほど。日本でもここまで音圧上がるぞっていう」
R「しかも自宅でね」
H「自宅で。いやだから80年代のサウンドストリートでしたっけ、あの文化がここまで来たっていう話ですよね。凄いいい話ですよ」
R「だからマスタリングって何か皆固定観念で絶対やんなきゃいけないもんだとか頼まなきゃいけないもんだとか思ってるんだけど、あれ別に出来るんですよ自分で」
H「まぁそうですよね」
R「昔のFrogmanのやつとかはまだ家でCDRが焼けなかったから絶対にそこの過程を踏まえないと商品にならなかった。でもその後CDRが焼けるようになって、このまま工場出せるんだっていう話になって。そしたらもういらねーやってなって。曲間とかも、あのーそこもうちょっとどうのこうのとか... 」
H「言わなくていいわけですよね」
R 「後ろから言わなくていいし、自分で何回かやってコレだ!って出来るし」
H「だから逆に言うとそういう頼まれ方をされる可能性も今後あるってことですかね。CDの音をデカくしたいんでアライさんお願いしますみたいな」
R「だからマスタリングもいくつかやってますよ」
H「あ、やってます? それはそうなりますよね」
R「でもね、僕のやつは別にマスタリングであの音量になってるわけじゃ実はなくて」
H「え、それは隠し技があるってことですか?」
R「そうそうそう」
H「その前段階で?」
R「前段階でもうデカイですよ」
H「マジっすか?」
R「だからマスタリングでトータルコンプとかでガーッて上げてるわけじゃなくて」
H「そんな簡単に上がるんだったら誰だって上がりますよね」
R「でもね、出来るよ。出来るっていうか上げるのは簡単だから、そういうのをかければいいわけだから。それでCD自体のレベルってあるでしょ、音量」
H「はいはい」
R「僕は最初は例えばCDをデジタルアウト/オプティカルアウトでDATに繋いでたんですよね、デジタルで。そうするとメーターが出たわけですよ、デジタルの。あ、CDの音量ってあるんだと思って、それでCDの音量が分かったんですよ」
H「はいはいはい」
R「そのCDそのものが持ってる音量、それをデジタルで出してやるとメーターが出るんですよ」
H「なるほど」
R「それでこのCDはこの辺まで、このCDは凄いきてるなとか」
H「それはそのCD自体で全然違うということですか」
R「そうそうそう、それがまずあるんですよ。その一番ピークの0デジっていうのが決まってるわけで、そこまできてるやつときてないやつとか色々あるわけですよ。それで自分はじゃまず0デジまでいこうと」
H「はいはい。で、それは超えちゃってるんですか?」
R「いやデジタルだから。デジタルの方がやりやすいっていうかゼロまでいけば」
H「自動的に圧縮されちゃうとか」
R「割とこうリミッターかかるっていうか。アナログみたいに際限なくいかないですよ。アナログだとすぐビリビリいったりするんだけど」
H「まぁそうですよね」
R「デジタルだとリミットされるの」
H「それはそのいわゆる単純な音割れみたいな感じにはならないんですか」
R「そうだね、なっちゃうはなっちゃうんだけど。要するにそこで一つの目安としてデジタルメーターでゼロまでいくっていうのが自宅の環境でまずわかるかどうかっていうのがあって。それを僕は早い段階で気付いたから、あー自分のはゼロまでいけばいいんだっていうことでゼロまで上げたっていう話なの、最初。それがマスタリングってことで」
H「まーそれが自分の理想の音に近づけば」
R「だってマスタリングって殆ど音量調整と曲間が主な仕事だから。で、それを自分で気付いた瞬間にこれでいいって思って。だから1日何万とか払って頼む必要ないじゃんって」
H「1日何万っていうか1時間何万」
R「で、コンプ感とかそういうのは結構自分で作ってる時にやって、それで満足してればそれでいいやっていうのがあったから」
H「それアナログの時はどうすれば... 」
R「デジタルミキサーに変えたから。すぐデジタルミキサーにしたんですよ」
H「それ最近でしたっけ?」
R「いやデジタルミキサーを買ったのは"Again"を出した後に」
H「あ、そんな早いんですか。ヤマハのやつですか」
R「そう、それでデジタルでしかもコアキシャルっていうのがあってデジタルアウトで出したら、それでレベルが一致するんですよ。だからミキサー上のピークのレベルと」
H「同じになるっていう」
R「ミキサー上でピークになってれば基本それでいいっていう」
H「2枚目っていうことはデジタルミキサーが家庭で買える値段の最初のまだ高い時ですよね、自宅でもついにみたいな」
R「プロのスタジオとかで使ってるO2Rっていうのが一番有名なんだけど、そうじゃなくてその廉価版っていうかグレードが低いやつがあるんですよ、01mixっていうのがあってそれを買ったんですよ。でも今ね、それすらいらないですよ」
H「というと?」
R「だからLogicとかCubase
とか、そのソフトのマスターのメーターがあるからそれでいいんです」
H「それでもわかる?」
R「っていうかそれがもう音量だから。デジタルの。だからPerformerとかで作ってマスターのメーターを見てゼロまでいってれば、もうそれでいいんです」
H「単純にそれだけの話ですか」
R「それだけの話。それでバウンスして。要するに昔はそのレベルっていうのがわかんなかったわけ。CDっていうメディアはデジタルだから、デジタルのメーターでどの位いってるかっていうのが自宅でわからなかった。アナログミキサーのメーターを見てもデジタルに変換した時にまた変わっちゃうから、アナログミキサーだけあったらダメで。要するにデジタルで作ったものをデジタルで取り込んで、そのままCDにすればいいっていうだけの話なんですよ」
H「まー同じもんですからね」
R「だからまずデジタル環境があるかないかっていう」
H「なるほどなるほど。うちの知り合いも最終的にProToolsに入れて色々やってるらしいですけど」
R「だからProToolsで色々やるのは音質、コンプとかイコライザーとかそういう色付けの部分っていうか。そこはもう人によって色々やりようあるんだけど。僕はもうそこはあんまり興味なくて」
H「なるほどねー」
R「もう作ってる時に割とそういうのをmixしながら作っちゃうから」
H「でもあれですよね、ドラムの1音自体の音が既にもうデカいイメージがありますよ」
R「そう、だからデカイですよ」
H「音質っていうか質感っていうか。ドン!とかの」
R「だからもうそうやって後からProToolsとかでいじくるのは面倒臭いんで。最初から使える音を作ればいいじゃんっていう」
H「だからそのサンプルの音が既にデカイっていう」
R「そうそう。だからそのために工夫してやるんですけどね」
H「うんうん。あとカッティングギターの音とか異様にカッコイイですよね。あれはどっかのサンプルですか」
R「そうそう」
H「あれ何か憎たらしいカッティングギターですよね、マジで。なかなかイカシタ」
R「あのー、別に普通です」
H「何か使い方が違いますよね? カッティングギターとして使ってない感じで」
R「それはだって1秒とか2秒くらいしか録ってないわけだから、どうしても普通に弾いてる感じにはならない。要するに1秒単位のものを連打しないとならないから必然的にエディットになるっていう」
H「ですよね。それがだからやっぱサンプルミュージックのカッコ良さですよね」
R「そうそうそう」
H「オリジナルとは違ったものになるっていう」
R「よくどうやってるんですかって聞かれるんだけど、トータルコンプとかどうのこうのじゃなくて、もう最初から違うんですよ。もうそのサンプラーに入ってる音が自体がデカイんですよ」
H「それはあれですよね、最初に出したアルバムの時は音をデッカクしようと思わなかったわけですよね?」
R「そうそう」
H「それでその時はイメージで音をデッカクしようと思ってないわけですよね、音も違うから。それは曲調が変わるにつれて段々... 」
R「そうそう」
H「それで家でもマスターを作るようになると」
R「だからよりビート系に移行した時により太くしたいとか」
H「最初結構優等生的なイメージで皆聴きましたよ、フロッグマン辺りの時は。それで段々バイオレンスな感じになってって(笑) 音がデッカクなって」
R「そうそう。あの時はテクノシーンに馴染もうとしてたから」
H「なるほど。あーそうですね」
R「その頃のブレイクビーツシーン、Ninja Tuneとか同時に盛り上がってた時代だけど、あんまり意識してなかった」
H「あの時代、日本で曲出そうとするとNinjaTuneの方には行き辛いですよね」
R「結局いないでしょ。HipHopかテクノでしょ」
H「しかもNinjaTuneの方向に行けた当時の日本人っていないかなーと」
R「一応僕も1枚目でブレイクビーツはやってるんだけど、曲によって」
H「でもアンビエントの人ってイメージでしたよね。あのジャケの写真のイメージが強いですよ」
R「っていうかその時知ってた?」
H「フロッグマンの時はまだ知らないですね。ちゃんと意識したのは"mind edit"のあたりですよね」
R「何か認知され出したのが士魂あたりから... 」
H「あれはデカイっすね」
R「その辺からちょっと変わってきた」
H「アブストラクトの前はテクノの人っていうイメージですよね。そうか、でも最初は合わせようとしてのかー。で最初コンピレーションで1曲。で、アルバムの方が向いてるからアルバム」
R「そうです。で、最初はデモテープです」
H「10曲くらい一気に?」
R「いや2曲かな。しかもその頃カセットだからね」
H「あーそうか」
R「10分っていうカセット買ってきて片面に1曲ずつ入れるんですけど」
H「あとあれですよね、海外でいきたいですよね。普通に」
R「だからその前はWARPとか一応送ってたけど」
H「特に?」
R「ひっかからないです」
H「WARP、ひっかかりそうなもんですけどね」
R「WARPなんか皆送ってたよ、多分。それでダメでそうこうしてるうちに日本にレーベルが出来たんですよね。で、僕はさらに前はSONYとかに普通に送ってたんだけど、まーでもそういうインストの世界でまず無理なので」
H「無理ですよね、坂本龍一くらいで(笑) 他いないっすよね。インストのアルバムとか」
R「僕はホントにバンドブームとかそれぐらいの時期にバンドとかやってて。家では宅録やってたけど、こういうのを出せる状況っていうのが見えなかったから」
H「ですよね」
R「だからそれはそれでやってたんだけど、外ではバンドとかやってて」
H「そのバンドでデビューみたいなのは考えなかったんですか?」
R「それでデビューしたらまた変わっちゃったんだけど」
H「そしたらドラマーですか、キーボード?」
R「ドラマー。そしたら別にデビューしなかったから、しょうがないやってバンドやめて。それでその頃にテクノブームっていうか来るんですよね。その日本のテクノレーベルの第一世代っていうか、最初の動きが出来て」
H「乗りますよね、それにとりあえず」
R「それで最初にひっかかったから良かったと思うんだよね。それで4つ打ちのトランスみたいなのはわかんなかったから当時。だから一応リスニング系のアンビエント作ってて」
H「だからアンビエント... 例えばBrian Enoとかも最初から好きでそのアンビエントから聴いてるっていう感じですか?」
R「でもね、リアルタイムではBrian Enoはそんなに。だって中学生とかだからScritti Polittiとかはわかるけどさ、Brian Enoは... (笑)」
H「流石にそんな変な音楽は聴かないっすよね、イヤな学生ですよね」
R「そうそう。存在は知ってたけどね、勿論。だから後からだね、Brian EnoはOrbとかと一緒に聴いてた感じ」
H「テクノからアンビエントに入ったっていう」
R「それでBrian Enoがやってたこともわかるようになっていうか」
H「あの時代はアンビエントって凄い皆やってましたよね。一番のオシャレキーワードですよね、94~5年とかアンビエントは」
R「それでOrbのアルバムで一応4つ打ちっぽいのもあればダブっぽいやつとか色々あるから、割と1枚目はそういうイメージで作った。とりあえず色々なリズムがあってっていうような」
H「だから久しぶりに聴かせてもらって何か不思議な感じはしますよね(笑) 10年前のアルバムって何とも言えない感じが」
R「だからmixとかも、低音とかまだわかってないなとか自分で色々ダメなところはわかるんだけど。今逆にあれは作れないからテンション的に」
H「逆にいうとあれですよ、今アンビエントしたらもの凄いアンビエントを作れるんじゃないですか。つまりその低音の強さとかわかった後のアンビエントって凄い聴きたいですよね。もう何かノイズもわかってるし、勿論アンビエントもわかってると。それはいつかは多分、もう少ししたら作るかもしれないですけど」
R「それって求められてるの?(笑)」
H「いやー(笑) 聴きたいです。つまりそれは安直なアンビエントじゃなくて」
R「それは難しいね」
H「何か大人のアンビエントっていうか。だから理想を言っちゃえばリズムが聴こえるようなアンビエントですよね。つまり鳴ってないんだけど鳴ってるようなアンビエントみたいな」
R「どんなんだ、それ(笑) E2-E4みたいなのじゃなくて?」
H「逆ですね」
R「え?」
H「逆です。メロディがないんだけどメロディが聴こえるみたいな」
R「それってエレクトロニカでやってる人いないの? 誰も」
H「だからそのあれですね、エレクトロニカの逆ですよ、逆。エレクトロニカの人達の弱いところはあんまり踊れなかったりするとことすると、アライさんはもうファットなビートでダンスミュージックも出来ると、でその後のアンビエントですよね」
R「じゃーそれでアンビエントやってる時もまだ踊れなきゃいけないの?」
H「踊れなくても踊れそうな雰囲気」
R「それ難しいわ」
H「いやでもなんか作れそうな気はしますけどね。青臭くないアンビエント。まーノイズも勿論入ってるでしょうけどね。大人な、アダルトオンリーみたいな」


















