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cinra-magazine vol.6

cinra6.jpg フリーCDマガジン『cinra-magazine vol.6
「音との付き合い方」にて原稿書きました。ちなみに今回で3回目の寄稿になりますが、いつもタイトルは依頼されてる御題で、そのテーマを元に原稿を書いてます。(以下webで読めない状態なので、掲載。お題は先方から与えられたものです

『音との付き合い方』 Riow Arai
この春は昨年11月に発売された”Rough Machine“というニューアルバムのツアーで全国各地に飛んでおり、札幌から帰る飛行機の中でのこと。離陸前後に機内で流れていたのはオルゴール風、クリストファークロス『ニューヨーク・シティ・セレナーデ』。別にNYCから帰るんじゃないんだよ、札幌から東京に帰るんだよ、と当たり前に突っ込みたくなる。それを流してる航空会社も特に何も考えてないだろう。NYCを演出したいわけでもないだろう。たまたまオルゴール風ヒット曲集のCDかなんかをタレ流してるだけだろう。機内でそんなことを気にしてるのは自分だけだろう。といった感じでフライトは順調、東京に近づいた。ぐっと高度は下がって地上の夜景がキレイに広がっている。東京はこんなにも明るいのか。ちゃんと地形がわかるように灯りが満遍なく設置されている。電気の使い過ぎじゃないかという位、日本という国はすぐ大気圏からもすぐ判別出来そうだ。そんなことはともかく着陸前後、またオルゴール風BGM。曲はジョンレノン『イマジン』。自分はこの偉大な曲を所有してないので、歌詞の意味をうろ覚え、この世は天国だと思えば楽になるよ、というような歌だと勘違いしており、おいおい不吉な曲を流すなぁと墜落でもする気かと余計な妄想を膨らませてしまった。半分怒りつつ、本当に航空会社は何も考えずに曲をかけるなぁと。これが或る日の「音や音楽を聴いたり向き合う瞬間は、どのようなものであるのか」ということであったわけだが、後日ネットで『イマジン』の日本語訳を調べてみれば、「天国なんてないと思ってごらん… 」から始まる訳(この訳が正しいものであるかはさておき)で、別に「死」をイメージする意味ではないという解釈も容易に出来る。そういったことも含めて着陸に『イマジン』というのは「音との付き合い方」を敢えて考えてみれば意味深だなと思ったわけで、そんな出来事からこの偉大な曲がまた一歩自分に近づいてしまった。しかし航空会社がそこまで思慮深く選曲していたかどうかはあまり考えたくない。ちなみに今回のツアーで違う航空会社に乗った時にはオルゴール風BGMはなかった。たまたまその航空会社が演出してしまったわけで、むしろ「音楽や情報が溢れかえっている中で音とどう関わるか」の問題。しかしこのオルゴール風音楽というのはクセもの。そういうCDが売っているのを見た事もあるが、一体どういう需要があるのか、店内で流したりとかBGM以外の用途があるのか、稀に家でこれを聴く人もいるのかもしれないが、こういうCDこそ「タレ流し」文化から生まれたものであるだろう。「タレ流し」オッケー、まさにウルサくなく、かといって場が静か過ぎるのも… といった21世紀の殺伐とした現代社会の空気を癒してくれる商品なのです(笑) 僕のような音楽を作る者にとっては、そういった音の存在に敏感に反応したり、或はクリエイティヴなイメージの妨げにならぬよう毒されずにシャットアウトしたり、色々と大変なわけです。