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editalk #1 + Homecut

editalk.gif マンマシーン/Riow Arai。彼の主催するイベント”ModeDown“に集うものたちは知っているだろう、そう彼は人間だったのだ。彼は冗談を交えたMCもするのだ。彼は決して機械に操られたロボットなのではない。機械によって拡張された人間なのだ。そんな彼がアルバムデビューして10年が経った。このインタビューは、彼の残してきた10年ものアーカイブを振り返ることによって、その時々の多種多様なシーンと微妙な距離感を保ちつつ、リョウ・アライがリョウ・アライになっていく様を写し出すことができれば成功であろう。おそらく、10年続けてきた一音楽家に耳を傾けることは、そんな野暮なことではないはずだ。(HOMECUT)

PROFILE/ HOMECUT homecut.jpg あまりにもらしくない風貌と、あまりにもらしいターンテーブルスキルを併せ持つ期待のタンテユニット。凄まじいまでのカットアップスキルで、19分のDJプレイで50枚ものレコードをライヴエディットしてしまうという驚愕のDJチーム。昨年は、初のMIX-CD『#1』をリリースし、たった19分のこの作品が噂が噂を呼び、DJ KENTAROら凄腕DJを発掘し続けるDMC DJ CHAMPIONSHIPSに無名の新人ながら、ゲスト出演する快挙を成し遂げた。また雑誌各誌(GROOVE、MASSAGE、QUEST)でインタビュー依頼が殺到し、その豊富な知識と批評精神に溢れた発言も注目を浴びた。6月末には2枚目になるMIX-CD『#2』がDELIC RECORDSからライブ映像付きでリリース!


vinyl_cuttingHOME CUT(以下H)「基本的にアルバム単位で考えていつも曲を作りますよね? 大体」

Riow Arai(以下R)「一応アルバム発表っていうのが軸だから」

H「ですよね」

R「っていうかさ、日本のキツイとこは12インチをボンボン出せないんだよね」

H「あー」

R「アナログを手軽に出せる状況じゃないっていうのが、最近つくづく思うけど、それがやっぱり一番こう… 」

H「逆だと思ったんですけどね、あんまりこう12インチ出したくないのかなーと」

R「いやいや、一応出してるけどそんなに出せない」

H「あ、ホントは別にドンドン出して、たまったらアルバムみたいな感じが理想なんですか?」

R「それでもいいし、12インチだけの企画とか全然やりたいけど」

H「あ、そうなんですか」

R「アナログ出すことが凄い贅沢っていうか、気軽に出せないものだよね」

H「てっきりそうじゃなくて、もうコンセプトとして毎回アルバム単位で考えているのかなーと」

R「いやいや」

H「それはたまたまもうそういう風にやらざるを得ない環境の問題ですか」

R「そうそう。だから最初MP3とかもホームページで」

H「膨大なね」

R「あれ始めたのはホントは毎月12インチとかボンボン出せれば」

H「そっかそっか」

R「もうそれ用のトラックっていうのを」

H「なるほどなるほど」

R「アルバムとかじゃなくて、単品でドンドンこうトラックとして、DJツール的にこうバンバン出したいわけだけど、そんなこと出来ないんだよ。とにかくコストが高いから、皆そんなにボンボン出せないっすよ。いやー出来ないですよね」

H「それであのMP3シリーズですか。あれ、いわゆる画家がスケッチを描くみたいなこと言ってましたよね」

R「そうそう」

H「単純にそういうことなのかなーと思いきや、そうじゃなくてホントはドンドン出したいっていうのもあって」

R「そうです。スケッチみたいな動機もあるし」

H「それだけじゃなくて」

R「そのスケッチみたいなのもドンドン出したいし」

H「それはもうそうですよね、それだけじゃないっていう。なるほど。でも皆アルバムの人っていうイメージですよね」

R「そうかも」

H「そういう感じなんですけど、12インチを出したいっていうのは出したいんですね。それで12インチで例えばリミックスをわざわざお願いして出してるっていうのはあんまないですよね。何か海外の売れっ子DJとかの」

R「僕の作品のリミックスっていうのはまだ一つもないんですよ」

H「ですよね。それはあんまりやらないですか、あんまり考えてないっていうか」

R「それはもう、まず頼んだらお金がかかるし」

H「まーそうですよね」

R「それもあるし、アナログにすること自体がまず金かかるし、その上にリミキサーにギャラとか払えないし、僕のトラックは元々ダンスビートだから、まず自分のを収録したいみたいな」

H「わざわざドラムンベースミックスとかしてもらう必要もないですよね」

R「そうそう(笑) それやるんだったら自分でやりますよ」

H「やっちゃいますよね(笑)… あーやっぱり色々聞いてみないとわからないものですね。多分だから一般のリスナーの人は全くわからないと思いますね。ホントにアルバムの人だと思ったし、12インチとか全く興味ないのかなーぐらいの感じに思ってたんですけど」

R「あのー自分でアナログでDJを全くやらないから、そういった意味では普段買ったりすることはないし、12インチとか身近じゃないけど。ただ自分のトラックを例えば自分はアナログ興味ないからアナログ出さなくていいとか言ってるわけじゃないんだよ(笑)」

H「てっきりそうかなーと(笑) もしくはあれですよね、CDシングルみたいなのは… 」

R「CDシングルは意味ないでしょ、J-POPじゃないから、やっぱり。あんまないよね」

H「クラブ系ではあんまりないですよね」

R「しかし日本のシーンは基本的に12インチをバンバン出せないっていうのがダメなんだよ」

H「これホント、80年代から言われてて、一向に解決しないですね」

R「そうそうそう」

H「プレス工場が一つしかないんでしたっけ?」

R「東洋化成っていうのがあって。いつから1社しかないのかわからないんだけど、1社しかないから高いし、高い上に… 」

H「オッサンですよね、会社の人が」

R「クラブの音をわかってないから、カッティングもダメだし」

H「確かに海外のカッティング工場なんか、このテクノならこの人がいいとかいうのを必ず聞きますよね。あそこのロンドンのなんとかが凄いとか」

R「だから僕も”BEAT BRACELET“の時に初めて2枚組でLPで作ったんだけど、それはイギリスのいいとこで」

H「名の知れた?」

R「うん、やったんですけどね」

H「あとよく言うのは音圧がイギリスは高いから違うとか」

R「そうね」

H「誰か日本でクラブ人間でお金を儲けて、そいつがパトロンになって自分で作るしかないんですかね。誰かが率先して(笑)」

R「だから逆に日本で出してるケースって、そういう資本的に何かあるケースが多いですよ」

H「なるほどね」

R「しかも相当な数がハケないと利益が出ないから。それで最近思ったけどヨーロッパとかはアナログ市場がずっと続いてるわけで、その作って出してクラブでかかっていうサイクルが」

H「確かに。しかもダブプレートでまずDJに渡すみたいな」

R「だからリミックスのやりがいもあるし」

H「そうですね」

R「だからそのリミックスのEPだけで2種類出したりとか出来るわけで。それで色んなリミキサー入ってて、こいつ誰だみたいなのがあって。そういう広がりがないでしょ。アンダーグラウンドのところでヨーロッパみたいな12インチとか、それだって1つ1つそんなに売れてるわけじゃないけど、多分ちゃんとそういうサイクルがあるんだよね、売れないなりにも」

H「だから日本にそれがあれば」

R「それがないのに」

H「強引にそれをやってもギリギリですよね」



Riow Arai(以下R)「僕は最初のFrogmanの時はいわゆるテクノのアゲアゲな感じじゃなかったから。Frogmanは12インチとか出してたんだけど、そういうんじゃなくてリスニング系だったから… 」

HOME CUT(以下H)「アルバムの方で」

R「それでいきなりCDでいこうってことで、それで一応FrogmanのCDとしてコンピが2枚あってアーティストのCDでは僕が初めてで」

H「それが凄い話ですよね。Frogmanというと日本のテクノが一番盛り上がった時の立役者みたいな」

R「だから取っ掛かり的に一番最初がアルバムだったっていうのはあるよね」

H「それが96年ってことですか。その頃ケンイシイとかススムヨコタとかとの絡みは?」

R「その頃はなかったけど、何故か渋谷HARLEMでイベントがあって。テクノの(笑)」

H「マジですか? 渋谷HARLEMでテクノ、あんまり聞かないな、逆に凄いですね」

R「それでその時にススムヨコタとかケンイシイ、キャプテンファンクとか」

H「もの凄いメンツじゃないですか、日本のテクノシーンの」

R「外人勢もいてHerbertとか」

H「蒼々たるメンツじゃないですか、それ何年くらいですか?」

R「99年かな」

H「まーでももうテクノが一通り出てる頃ですよね」

R「僕はもうその時テクノじゃなかったから、今のスタイルに殆ど近くて。それでHARLEMの週末だったんだけど、間違えてB-BOYが入ってきてて」

H「間違えて踊っちゃったりして?」

R「間違えて僕の時に」

H「ゲキ踊りを?」

Rブレイクダンス

H「(笑)あー、それいいっすね」

R「それでヤバイっすねっつって」

H「初めて聴きました、みたいな」

R「僕もまだLIVEをそんなにやってない頃で。凄い面白かった」

H「それCDJで?」

R「そう。あ、やっぱ僕の曲でブレイクダンスするんだ、みたいな」

H「だからあれなんですよ、いわゆるHip Hopの人間ってDJよりかブレイクダンサーの方がちゃんと聴いてると思うんですよね。それホント不思議な話で。Hip HopのDJよりかはダンサーの方が耳が超えてるっていうか、意外にジャンルで聴いてないっていうか、音だけちゃんと聴いてるっていう不思議な話で。それにしてもEDIT CONFERENCEでも盛り上げましたねー」

R「初めてでしょ? 僕のLIVEを見るの」

H「生は初めてでしたね、ハイ」

R「大体あんな感じですよ」

H「あれは踊りますよ、アレは(笑)」

R「それでその時かけたのとHARLEMでかけたのと同じ曲をかけたんだけど」

H「マジっすか、アレは踊れますよ。前にどっかでリッキドルームでやってるのがupされてましたよね」

R「あれはBARKSかな」

H「あれは何年のやつでしたっけ?」

R「2002年。あれはskamの前座で22時から0時まで2時間やって」

H「ロングセットですね」

R「ロングセットでしかも全部自分の曲っていう」

H「(笑)スゴイ、カッコイイですね、それ(笑)」

R「それで早い時間だから人いないかなと思ったけど、結構皆来てて。終わりの頃は盛り上がって。あれしかもその中で1曲だけチョロっと映像になってただけで多分2時間の真ん中くらいで、あの後もっと盛り上がるんだけど」

H「なんかでもクールな感じに映ってましたけどね。あの感じが良かったですけど」

R「しかもあの時まだKaoss Padとかもつけてないから、割とかけてるだけだった」

H「CDJを? 確かにそんなに何かをしてるって感じではないですよね。でもあれですよね、EDIT CONFFERENCEのLIVEは相当身体性ありましたよ、普通に(笑)」

R「そう、だからKaoss Padを使うようになってからはだいぶ色々やれるっていうか」

H「まぁ元々ドラマーっていうかドラムをやってたくらいだから、身体性がないわけは勿論ないですよね。あーズルいなーみたいな(笑) あとわかりやすいじゃないですか、Kaoss Padで音がこう変局っていうか曲がったり。ズルいなと」

R「あれKaoss Pad 2なんだけど1の時は持ってなくて2が出た時に買って」

H「最適じゃないですか」

R「そうそう。制作では全然使ってないんだけど」

H「LIVEだけ」

R「だからその場にパイオニアのミキサーとかでエフェクターがついてるやつとか結構そういう感じで使えるものがあればそれもドンドン使ってる感じで」

H「なるほど」

R「それであんまりテクノDJじゃないから混ぜるっていうのはあんまなくて」

H「まーそうですよね」

R「とりあえず1曲あって、その1曲の中でどれくらいLIVE性を加えられるかみたいな感じで」

H「あれですよね、あの時も相当焦らしてましたよね?」

R「何が?」

H「色んなところポイントポイントをエディットで。しかもあれ特にループさせてたわけでもないですよね。普通例えば8小節だけブレイクして展開したりするじゃないですか。でもずっとこう32小節ぐらいエディットだけのところとか、あれわざと焦らしてるのかなと。それをKaoss Padでずっと…」

R「あ、違う違う。元々曲の作り。あの僕の曲の作り方って、そんな律儀じゃないんですよ。そんな16小節ブレイク作ってとかそんな決めてないんですよ」

H「あ、そう言われてみれば言ってましたもんね、インタビューで取り敢えずこう打ち込んで、だからああなるんだって」

R「そうだから5分ぐらい叩いて演奏してんですよ」

H「それであとでクオンタイズかけてっていう感じですよね」

R「それで構成とか編集もするけど。そんなに16小節何もないところを作ってとかあんまりそういう風にはやらない」

H「それズルいな。身体的に次曲変わるとか思うところでさらにエディットしていくから(笑)オットットみたいな、そういった意味では凄い興奮しましたね」

R「だからLIVEで曲の長さを延ばしたりはしてない。3分の曲だったら3分の中で色々展開して終わってて。それで例えば最後の方でループさせて延ばすとかは普段はそんなにしない」

H「だから意外にその規則性がないからビックリしますよね、だって僕らそういうもんだと思って聴いてるから。あ、次展開するんだろうなぁっていうところで展開しないから、ウワ〜焦らしてるわ、この人っていう。でもそれは元々曲がそうだからっていう」

R「僕はだからそういうフォーマットっていうよりかは自分の生理っていうか、そういうので展開になってるんで」

H「それはズルいですよね」

R「ズルい?」

H「いや一番オイシイとこですよ(笑) だってメチャメチャ身体性あるっていう話ですよ」

R「トラック自体は」

H「それで長い曲もあるわけですよね、6~7分、12分とか。そんなに普通ロングな曲を作らないですよね」

R「だから僕の場合これだけ展開出来るんだぞみたいな」

H「そういう面白さ」

R「トラックメイカーとしての意地があったんで、単純にループみたいなトラックで6分とかだと長いけど、こう来てこう来てこういう展開があるみたいな作り方をしてるから。だからそれで3分とかで終わっちゃうのはあれだから。でも12インチを作る時にカッティングの問題で片面12分って決まってるんですよ。だから結局長い曲を作っても曲がいっぱい入れられないとか単純にそういう問題になっちゃって、”Rough Machine“っていうアルバムは曲が割と長いから全部入らなくてアナログ用に全部エディットしなくちゃいけなくて、1~2分を削って詰めたりとか。その辺は結構不自由で。まーDJがかける感覚だと3分くらいだと思うんだけど」

H「僕は30秒です」

R「まぁまぁ、それはちょっと置いといて(笑) それで作品として作る上で3分はなーっていうのがあって。3分だとワンループ作って… 」

H「ワンループでグルーヴが出てくるのが3分くらいですからね」

R「そうするともう終わりかなっていう。だからHip Hopとかワンループワンネタぐらいですぐ終わっちゃうんだけど、それって曲作ってる方からするとちょっとつまんないっていうか」

H「ラップする分にはいいんですけどね」

R「僕の場合、やっぱ展開させたいっていうか、単にトラックだけじゃなくて楽曲としてグレードを上げたいみたいなのがあって」

H「展開の鬼っていう感じがしますよ」

R「しかも割とマニュアルで全部打ってるから」

H「それが凄いですよね」

R「1小節作ってそれをコピーとかもあるけど、割と打ってるんで同じようなリズムでも微妙に長さとかが違うんですよ」

H「しかも普通そのテクノ系に限って言っちゃえば、例えばMPCで最初から打ち込んでやる人が多いじゃないですか。絶対マニュアルではやらないっていう。それを手で打ってっていうのは意外に少ない気はしますよね」

R「テクノの場合はスクウェアなリズムだから逆に手で打つ必要なくてステップで作った方がいいんだけど。それでパターン作ってはめてくっていうか。僕もそういう作り方することは勿論あるんだけど、ブレイクビーツの時は全部打ってその生で色々即興的にガーッとやったのがそのまま展開になるんですよ。展開部分を考えているわけじゃなくて、色んな音を並べておいて一つのパターンを打ってたのがノリで段々他の音も加えたくなってくるわけですよ、3分とかやってると。それでセッションみたいな感じになって」

H「5分目くらいからキテますよね」

R「それをベーシックとして、それをちょっとこう整理したり構成したりする」



soundedit_screenHOME CUT(以下H)「曲作る時間って深夜ですか?」

Riow Arai(以下R)「いやそんなことないですよ。昼間。最近はあんま深夜やんなくなってきた。昼間から夜」

H「意外に真夜中の人が多いと思うんですけど」

R「真夜中だと音が出せないから、ヘッドフォンでやるしかないから、ヘッドフォンでずっとやるのも疲れちゃうから」

H「そうですね。音小さめでやります?」

R「いやデカイです」

H「そういえばそうなんですよね、CDの音がデカイって話してたじゃないですか。デカイですよね、ホントに(笑)」

R「(笑)」

H「え、あれはああいう、ホントに出来るんですか、そういうことが? 普通決められた、あの、カットされちゃうわけじゃないんですか? 出来るんですか?」

R「だから限界に挑戦してるんですよ」

H「あれは凄いですね」

R「多分世界一デカイかもしれないですね」

H「いやーそれは凄い。そこもっと言った方がいいですよ。デカイ、音がデカイって凄いですよ。でもそこまで全部自分でやって工場に発注ですもんね」

R「だからマスタリングっていうのをちょっと意味わかんないなと思って。う〜ん、まぁお金もかかるしね。それでも皆頼んでるわけだけど」

H「ありますよね、あの人に頼むとあの音になるからとか。でもそうはしてないわけですよね」

R「だから予算とかね、そういうのいくらでもあればいくらでも試したいけど。とっかかりとしてまず試せないっていう状況があって。それでもう自分でMacに取り込んでオーディオデータにしてCDRにすれば取り敢えずマスターになるっていう事に99年位からなったから、それでもういいやと思って。自分もそれで満足してるし音的に。だから自分が作ったそのままの音がCDになればそれでいいやと思って」

H「それが出来るようになったわけですよね。機材の進化は素晴らしい」

R「それでまた自分でやったからショボイとかいうのはイヤだから、自己流でそこ頑張るわけですよ 。で、頑張った結果もの凄くデカくなった(笑)」

H「(笑)四苦八苦した中で。素晴らしい話で。しかしホント、デカイっすよ」

R「だからUSのHipHopに負けないぞみたいなのがあったから」

H「なるほどなるほど。日本でもここまで音圧上がるぞっていう」

R「しかも自宅でね」

H「自宅で。いやだから80年代のサウンドストリートでしたっけ、あの文化がここまで来たっていう話ですよね。凄いいい話ですよ」

R「だからマスタリングって何か皆固定観念で絶対やんなきゃいけないもんだとか頼まなきゃいけないもんだとか思ってるんだけど、あれ別に出来るんですよ自分で」

H「まぁそうですよね」

R「昔のFrogmanのやつとかはまだ家でCDRが焼けなかったから絶対にそこの過程を踏まえないと商品にならなかった。でもその後CDRが焼けるようになって、このまま工場出せるんだっていう話になって。そしたらもういらねーやってなって。曲間とかも、あのーそこもうちょっとどうのこうのとか… 」

H「言わなくていいわけですよね」

R 「後ろから言わなくていいし、自分で何回かやってコレだ!って出来るし」

H「だから逆に言うとそういう頼まれ方をされる可能性も今後あるってことですかね。CDの音をデカくしたいんでアライさんお願いしますみたいな」

R「だからマスタリングもいくつかやってますよ」

H「あ、やってます? それはそうなりますよね」

R「でもね、僕のやつは別にマスタリングであの音量になってるわけじゃ実はなくて」

H「え、それは隠し技があるってことですか?」

R「そうそうそう」

H「その前段階で?」

R「前段階でもうデカイですよ」

H「マジっすか?」

R「だからマスタリングでトータルコンプとかでガーッて上げてるわけじゃなくて」

H「そんな簡単に上がるんだったら誰だって上がりますよね」

R「でもね、出来るよ。出来るっていうか上げるのは簡単だから、そういうのをかければいいわけだから。それでCD自体のレベルってあるでしょ、音量」

H「はいはい」

R「僕は最初は例えばCDをデジタルアウト/オプティカルアウトでDATに繋いでたんですよね、デジタルで。そうするとメーターが出たわけですよ、デジタルの。あ、CDの音量ってあるんだと思って、それでCDの音量が分かったんですよ」

H「はいはいはい」

R「そのCDそのものが持ってる音量、それをデジタルで出してやるとメーターが出るんですよ」

H「なるほど」

R「それでこのCDはこの辺まで、このCDは凄いきてるなとか」

H「それはそのCD自体で全然違うということですか」

R「そうそうそう、それがまずあるんですよ。その一番ピークの0デジっていうのが決まってるわけで、そこまできてるやつときてないやつとか色々あるわけですよ。それで自分はじゃまず0デジまでいこうと」

H「はいはい。で、それは超えちゃってるんですか?」

R「いやデジタルだから。デジタルの方がやりやすいっていうかゼロまでいけば」

H「自動的に圧縮されちゃうとか」

R「割とこうリミッターかかるっていうか。アナログみたいに際限なくいかないですよ。アナログだとすぐビリビリいったりするんだけど」

H「まぁそうですよね」

R「デジタルだとリミットされるの」

H「それはそのいわゆる単純な音割れみたいな感じにはならないんですか」

R「そうだね、なっちゃうはなっちゃうんだけど。要するにそこで一つの目安としてデジタルメーターでゼロまでいくっていうのが自宅の環境でまずわかるかどうかっていうのがあって。それを僕は早い段階で気付いたから、あー自分のはゼロまでいけばいいんだっていうことでゼロまで上げたっていう話なの、最初。それがマスタリングってことで」

H「まーそれが自分の理想の音に近づけば」

R「だってマスタリングって殆ど音量調整と曲間が主な仕事だから。で、それを自分で気付いた瞬間にこれでいいって思って。だから1日何万とか払って頼む必要ないじゃんって」

H「1日何万っていうか1時間何万」

R「で、コンプ感とかそういうのは結構自分で作ってる時にやって、それで満足してればそれでいいやっていうのがあったから」

H「それアナログの時はどうすれば… 」

Rデジタルミキサーに変えたから。すぐデジタルミキサーにしたんですよ」

H「それ最近でしたっけ?」

R「いやデジタルミキサーを買ったのは”Again“を出した後に」

H「あ、そんな早いんですか。ヤマハのやつですか」

R「そう、それでデジタルでしかもコアキシャルっていうのがあってデジタルアウトで出したら、それでレベルが一致するんですよ。だからミキサー上のピークのレベルと」

H「同じになるっていう」

R「ミキサー上でピークになってれば基本それでいいっていう」

H「2枚目っていうことはデジタルミキサーが家庭で買える値段の最初のまだ高い時ですよね、自宅でもついにみたいな」

R「プロのスタジオとかで使ってるO2Rっていうのが一番有名なんだけど、そうじゃなくてその廉価版っていうかグレードが低いやつがあるんですよ、01mixっていうのがあってそれを買ったんですよ。でも今ね、それすらいらないですよ」

H「というと?」

R「だからLogicとかCubaseとか、そのソフトのマスターのメーターがあるからそれでいいんです」

H「それでもわかる?」

R「っていうかそれがもう音量だから。デジタルの。だからPerformerとかで作ってマスターのメーターを見てゼロまでいってれば、もうそれでいいんです」

H「単純にそれだけの話ですか」

R「それだけの話。それでバウンスして。要するに昔はそのレベルっていうのがわかんなかったわけ。CDっていうメディアはデジタルだから、デジタルのメーターでどの位いってるかっていうのが自宅でわからなかった。アナログミキサーのメーターを見てもデジタルに変換した時にまた変わっちゃうから、アナログミキサーだけあったらダメで。要するにデジタルで作ったものをデジタルで取り込んで、そのままCDにすればいいっていうだけの話なんですよ」

H「まー同じもんですからね」

R「だからまずデジタル環境があるかないかっていう」

H「なるほどなるほど。うちの知り合いも最終的にProToolsに入れて色々やってるらしいですけど」

R「だからProToolsで色々やるのは音質、コンプとかイコライザーとかそういう色付けの部分っていうか。そこはもう人によって色々やりようあるんだけど。僕はもうそこはあんまり興味なくて」

H「なるほどねー」

R「もう作ってる時に割とそういうのをmixしながら作っちゃうから」

H「でもあれですよね、ドラムの1音自体の音が既にもうデカいイメージがありますよ」

R「そう、だからデカイですよ」

H「音質っていうか質感っていうか。ドン!とかの」

R「だからもうそうやって後からProToolsとかでいじくるのは面倒臭いんで。最初から使える音を作ればいいじゃんっていう」

H「だからそのサンプルの音が既にデカイっていう」

R「そうそう。だからそのために工夫してやるんですけどね」

H「うんうん。あとカッティングギターの音とか異様にカッコイイですよね。あれはどっかのサンプルですか」

R「そうそう」

H「あれ何か憎たらしいカッティングギターですよね、マジで。なかなかイカシタ」

R「あのー、別に普通です」

H「何か使い方が違いますよね? カッティングギターとして使ってない感じで」

R「それはだって1秒とか2秒くらいしか録ってないわけだから、どうしても普通に弾いてる感じにはならない。要するに1秒単位のものを連打しないとならないから必然的にエディットになるっていう」

H「ですよね。それがだからやっぱサンプルミュージックのカッコ良さですよね」

R「そうそうそう」

H「オリジナルとは違ったものになるっていう」

R「よくどうやってるんですかって聞かれるんだけど、トータルコンプとかどうのこうのじゃなくて、もう最初から違うんですよ。もうそのサンプラーに入ってる音が自体がデカイんですよ」

H「それはあれですよね、最初に出したアルバムの時は音をデッカクしようと思わなかったわけですよね?」

R「そうそう」

H「それでその時はイメージで音をデッカクしようと思ってないわけですよね、音も違うから。それは曲調が変わるにつれて段々… 」

R「そうそう」

H「それで家でもマスターを作るようになると」

R「だからよりビート系に移行した時により太くしたいとか」

H「最初結構優等生的なイメージで皆聴きましたよ、フロッグマン辺りの時は。それで段々バイオレンスな感じになってって(笑) 音がデッカクなって」

R「そうそう。あの時はテクノシーンに馴染もうとしてたから」

H「なるほど。あーそうですね」

R「その頃のブレイクビーツシーン、Ninja Tuneとか同時に盛り上がってた時代だけど、あんまり意識してなかった」

H「あの時代、日本で曲出そうとするとNinjaTuneの方には行き辛いですよね」

R「結局いないでしょ。HipHopかテクノでしょ」

H「しかもNinjaTuneの方向に行けた当時の日本人っていないかなーと」

R「一応僕も1枚目でブレイクビーツはやってるんだけど、曲によって」

H「でもアンビエントの人ってイメージでしたよね。あのジャケの写真のイメージが強いですよ」

R「っていうかその時知ってた?」

H「フロッグマンの時はまだ知らないですね。ちゃんと意識したのは”mind edit“のあたりですよね」

R「何か認知され出したのが士魂あたりから… 」

H「あれはデカイっすね」

R「その辺からちょっと変わってきた」

H「アブストラクトの前はテクノの人っていうイメージですよね。そうか、でも最初は合わせようとしてのかー。で最初コンピレーションで1曲。で、アルバムの方が向いてるからアルバム」

R「そうです。で、最初はデモテープです」

H「10曲くらい一気に?」

R「いや2曲かな。しかもその頃カセットだからね」

H「あーそうか」

R「10分っていうカセット買ってきて片面に1曲ずつ入れるんですけど」

H「あとあれですよね、海外でいきたいですよね。普通に」

R「だからその前はWARPとか一応送ってたけど」

H「特に?」

R「ひっかからないです」

H「WARP、ひっかかりそうなもんですけどね」

R「WARPなんか皆送ってたよ、多分。それでダメでそうこうしてるうちに日本にレーベルが出来たんですよね。で、僕はさらに前はSONYとかに普通に送ってたんだけど、まーでもそういうインストの世界でまず無理なので」

H「無理ですよね、坂本龍一くらいで(笑) 他いないっすよね。インストのアルバムとか」

R「僕はホントにバンドブームとかそれぐらいの時期にバンドとかやってて。家では宅録やってたけど、こういうのを出せる状況っていうのが見えなかったから」

H「ですよね」

R「だからそれはそれでやってたんだけど、外ではバンドとかやってて」

H「そのバンドでデビューみたいなのは考えなかったんですか?」

R「それでデビューしたらまた変わっちゃったんだけど」

H「そしたらドラマーですか、キーボード?」

R「ドラマー。そしたら別にデビューしなかったから、しょうがないやってバンドやめて。それでその頃にテクノブームっていうか来るんですよね。その日本のテクノレーベルの第一世代っていうか、最初の動きが出来て」

H「乗りますよね、それにとりあえず」

R「それで最初にひっかかったから良かったと思うんだよね。それで4つ打ちのトランスみたいなのはわかんなかったから当時。だから一応リスニング系のアンビエント作ってて」

H「だからアンビエント… 例えばBrian Enoとかも最初から好きでそのアンビエントから聴いてるっていう感じですか?」

R「でもね、リアルタイムではBrian Enoはそんなに。だって中学生とかだからScritti Polittiとかはわかるけどさ、Brian Enoは… (笑)」

H「流石にそんな変な音楽は聴かないっすよね、イヤな学生ですよね」

R「そうそう。存在は知ってたけどね、勿論。だから後からだね、Brian EnoはOrbとかと一緒に聴いてた感じ」

H「テクノからアンビエントに入ったっていう」

R「それでBrian Enoがやってたこともわかるようになっていうか」

H「あの時代はアンビエントって凄い皆やってましたよね。一番のオシャレキーワードですよね、94~5年とかアンビエントは」

R「それでOrbのアルバムで一応4つ打ちっぽいのもあればダブっぽいやつとか色々あるから、割と1枚目はそういうイメージで作った。とりあえず色々なリズムがあってっていうような」

H「だから久しぶりに聴かせてもらって何か不思議な感じはしますよね(笑) 10年前のアルバムって何とも言えない感じが」

R「だからmixとかも、低音とかまだわかってないなとか自分で色々ダメなところはわかるんだけど。今逆にあれは作れないからテンション的に」

H「逆にいうとあれですよ、今アンビエントしたらもの凄いアンビエントを作れるんじゃないですか。つまりその低音の強さとかわかった後のアンビエントって凄い聴きたいですよね。もう何かノイズもわかってるし、勿論アンビエントもわかってると。それはいつかは多分、もう少ししたら作るかもしれないですけど」

R「それって求められてるの?(笑)」

H「いやー(笑) 聴きたいです。つまりそれは安直なアンビエントじゃなくて」

R「それは難しいね」

H「何か大人のアンビエントっていうか。だから理想を言っちゃえばリズムが聴こえるようなアンビエントですよね。つまり鳴ってないんだけど鳴ってるようなアンビエントみたいな」

R「どんなんだ、それ(笑) E2-E4みたいなのじゃなくて?」

H「逆ですね」

R「え?」

H「逆です。メロディがないんだけどメロディが聴こえるみたいな」

R「それってエレクトロニカでやってる人いないの? 誰も」

H「だからそのあれですね、エレクトロニカの逆ですよ、逆。エレクトロニカの人達の弱いところはあんまり踊れなかったりするとことすると、アライさんはもうファットなビートでダンスミュージックも出来ると、でその後のアンビエントですよね」

R「じゃーそれでアンビエントやってる時もまだ踊れなきゃいけないの?」

H「踊れなくても踊れそうな雰囲気」

R「それ難しいわ」

H「いやでもなんか作れそうな気はしますけどね。青臭くないアンビエント。まーノイズも勿論入ってるでしょうけどね。大人な、アダルトオンリーみたいな」



mindpackingRiow Arai(以下R)「シンセを段々使わなくなってくるんですよね」

HOME CUT(以下H)「はいはい、安直なね」

R「だから2枚目はまだ辛うじて入ってるけども、3枚目の”mind edit“辺りからはもうシンセは使わないと、全部サンプリングでやるみたいなのがあって」

H「で、”mind edit”は99年でしたっけ?」

R「そう」

H「あの時代って何かドイツのテクノシーンとかもDJがDJチャートで現代音楽とかをチャートに挙げてたような時代だったと思うんですけどね。何か皆一気に内面化しましたみたいな雰囲気がありましたけどね、あの時代の中に」

R「あ、僕もそれに便乗したんだ(笑)」

H「便乗っていうか(笑) 多分そういう何か」

R「空気ね」

H「空気感が」

R「世紀末ですね」

H「あーそういうのあるかもしれないですね。何かテクノのDJなのに新譜の12インチを1個も挙げてねーじゃんみたいな、あの時代そういう感じしましたけどね。一気に内に籠ったみたいな」

R「だってね、結局その90年代のテクノブームのピークは僕がデビューしたぐらいの96~7年なんですよ」

H「あーわかるなー」

R「振り返ると。ホントはあそこからまだ行くはずだったんだけど(笑)」

H「行けなかったですよね」

R「僕も96年デビューでこっからだっていう時に」

H「走り出しですよね(笑) と思ったらっていう感じですよね」

R「それでHipHopもそんな感じなんだよね。96年にさんぴんキャンプがあって、そういうの好きな人に聞くと結局そこがピークだったみたいなことを言うわけ。そこからはJ-POP化しちゃうっていうか、何かこう大事なことを失った的な話になっちゃう。だからテクノとHipHopは結構一緒なんだよ」

H「ピークが?」

R「96年ですよ」

H「さんぴんキャンプもね、いつも思うのはホントはだから日本のHipHopのいい時に結構やってないことがあったんだろうなーって思ってましたけどね。つまりあの当時にHomeCutがいればもの凄く自分は未来があったんだろうなって思いますよね」

R「それは年齢の問題だから」

H「そうですよね。あとラップにいっちゃいましたよね、その後。皆ラップに。あれが間違いでしたよね」

R「まーその前にDA・YO・NEとかあるしね」

H「そうなんですけどね、確かに。96年か… 」

R「でもその後にちょっとアブストが来て」

H「まーそうなんですけど、そっちに行かざるを得なかった。皆アブストラクトには行きましたけどね」

R「僕もテクノじゃなくてそっちのアブストで挙がったんだよね」

H「だからアライさんは逆に良かったですよね、それでね。テクノにならなくて。だって4つ打ちやって下さいっていうのは無理ですよね? やりたくないっていう。色んなインタビュー読んだり曲を聴いたりして、アライさんは結局時代の距離感が凄くこう上手な感じがしますよね。で、ジャンルとか手法とかで区切れないから立ち位置がいいっすよね。逆に言えばどこにいても居場所がない人のはずですけど、ジャンルじゃないから。でもその距離感の取り方は凄くいいなと。クールっちゃークールだし、ひいてるっちゃーひいてるんだけど、独特のスタンスはありますよね」

R「僕はそれ狙ってたわけじゃなくて」

H「たまたまですか?」

R「たまたまっていうか、だから年齢っていうのかな、10代は80’sドップリでね(笑) その後のテクノブームっていうのはもう何かハタチ超えてるし、そんなにハマんなかったんだよ。クラブも行かなかったしレイブも体験してないし」

H「しかもせいぜい好きなのがPortisheadって言ってるわけですからね」

R「それブームと関係ないわけじゃん」

H「そうですよね(笑) まー確かに」

R「その中で好きになっちゃったのが結局Portisheadだから」

H「といってSquarepusherは聴くけど別に好きじゃないしっていう」

R「そうそう。それでMassive Attackでもないしっていうのがあるから」

H「そうなんですよね、わかります」

R「イチ音楽好きだから、単に」

HDJ ShadowかSquarepusherみたいな時代で」

R「それでShadowが… 」

H「嫌いだった?」

R「いやわかんなかった。あのEndtroducingっていうのもその時買ってるんだけど売っちゃってるね」

H「最近言うのは過大評価され過ぎたね、あのアルバムはっていう話で。なんだか知らないけど全ジャンルの人が買っちゃいましたよね、あれ。特に今考えれば、そんなに皆あれ… 」

R「いやーでもOrgan Donorとか皆好きだよ」

H「まー皆買ってましたけどね」

R「それでいまだにかかってるし。それで僕は最近知ったんですよ、そのOrgan Donorっていう曲を」

H「はいはい」

R「っていうか当時買ってるんだけど、すぐ売っちゃってるから(笑) 覚えてなくて」

H「まーそのままオルガンですからね。あとあれですよね、Weldon Irvine聴いてますよね?」

R「それは最近ですね。CDで復刻されたから」

H「あー最近ですか。いや僕らなんかああいう音楽を当時96年位死ぬほどかけてた人間なんですよね」

R「そういうシーンあったの?」

H「いやだからそれがJAZZシーンですよね」

R「あーJAZZシーンでね」

H「だから僕らが全部ああいうのを広めたっていう自負があるんです」

R「なるほど。JAZZカフェシーン?」

H「そうそう(笑)」

R「小林径系の?」

H「そうです。だからあの世代ですよ、僕。小林径のやってることの若い世代っていう」

R「最近なんか紙ジャケで復刻されてて」

H「あそこら辺のエレピっていうか、カッコイイですよね、普通に。あのー普通に曲としていいっていう話ですよね。冷静に考えればね」

R「そうそう」

H「別にJAZZシーンとかレアグルーヴがどうとかどうでもよくて普通に曲がいいですもんね、確かに。でもあれですよね、アーティストが好きなアーティストっていう感じですよね」

R「ミュージシャンズミュージシャン(笑)」

H「逆にああいうの好きなんだなっていう」

R「聴くのは割りと何でも聴くけどね」

H「好きそうな感じはしますけどね」

R「90年代… 普通にだってCardigansとかも聴いてたしね」

H「思いっきりJ-POPっていうか、スウエーデン」

R「渋谷系」

H「渋谷系ですね。じゃ、フリッパーズギターとかは聴いてたっていうか… 」

R「いや聴いてないね、フリッパーズは」

H「だから80’sの… 」

R「同じ世代だから」

H「逆に嫌い、みたいな」

R「嫌いっていうかだからその… 」

H「同じ80’s通ってきた違う80’sの… 」

R「そうそう、The Art of NoiseAztec Cameraかみたいな、そういう違いですよ」

H「それでAztec Cameraにいかないっていう」

R「そうそう。でもピチカートファイヴは聴いてたから」

H「マジっすか」

R「結構サンプリングとかやってるし」

H「マジっすか」

R「エディット感もあるし。そういうネタ的な」

H「最近も何かまたカットアップシリーズみたいなのを出してますよね。それで70年代がSLYですよね、それで80年代がYMO、それで90年代がPortishead(笑)っていうのが、これ90年代の失速感を感じますよね(笑) だってスライとYMOって言ったら後世に残る… まぁPortisheadも後世には残りますけど」

R「いや僕の中では全然デカイよ、Portisheadは」

H「いやデカイですけどYMOに比べたらね、勝てないですよね」

R「まぁ」

H「だから90年代は80年代に比べれば、そういう風にしかならないんでしょうけどね。80年代に勝てるようなBIGなっていうようなのは」

R「人によってはあるわけでしょ。人によってはRadioheadっていう人もいるかもしれないし(笑) ま、Bjorkとか?」

H「あー、UKロックがありますもんね、あれも情けねーよな」

R「だからRadioheadとかOASISとか」

H「まぁ、いるっつーちゃいるのか。でも寂しいっすよね、SLYにYMOにPortishead(笑)っていうのはちょっと、90年代頑張れみたいな」

R「だから90年代は細分化の時代なんで、もう無理なんですよ」

H「そうですね、ポストモダン以降いないですから」

R「でもHi-FiからLo-Hiっていうのがあって。一応Portisheadはトリップホップだから」

H「僕トリップホップもリアルタイムで聴いてるはずなんですけどね」

R「ShadowとかCamとかVadim

H「Vadim(笑) いましたね。散々聴きましたよ、僕」

R「テクノもダメだったけど、あの辺も何故かね、イマイチだった」

H「Vadimダメでした?」

R「Vadimもダメで、それでPortishead。それでその時にPremierとかも聴いてなかったんだよね」

H「Vadimも好きだったらKrushとかもハマっちゃう話になっちゃいますよね」

R「っていうかその時期はHipHopを聴いてなかったっていうか、関心が何故かなかった。だからその時まだテクノサイドだったんだろうね。AphexとかSquarepusherとか」

H「Squarepusherは親近感あるんじゃないですか?」

R「親近感… ま、その当時は」

H「宅録な感じはありますよね。彼はドラムもやるじゃないですか」

R「でもちょっとさ、JazzオタクっていうかFusionオタクだから」

H「ジャコパスとか」

R「そうそうそう。結局ジャンルで聴いてないかも」

H「まーそうですよね」

R「でも90年代からですよ、ジャンルで聴いてるの、皆が」

H「そうかそうか、そうですよね。90年代はね、DJ文化のいいとこと悪いとこの、その悪いとこですよね。クラブミュージックの運命っていえば運命ですよね、細分化していくしかなくて。90年代はね(笑)」

R「もう90年代を総括してもいいんじゃないの?(笑)」

H「そうなんですよ。だからHomeCutはアンチ90年代で」

R「そうなの? それはリアルな時から?」

H「リアルな時はどっぷり90年代に浸かってて。で、2000年になってこりゃアカンなーと。何か凄くクリアな時代の感じがしたんですよね、つまりそれ建築とかでいえばシースルーな建物が一気に増えた時代であまりにも何かそのクリアにクリアにキレイにキレイに整えようみたいなのがあって。それが今思うと吐き気をもよおすほど嫌いになっちゃって」

R「僕も99年に21世紀を目前にして流行モンとかドラムンベースまではそういうのまだあったけど、それ以降はもういいやとか思って」

H「すり寄せる必要もなくなりましたからね」

R「それでもうマインドだけだと」

H「それで”mind edit”(笑) もういいや、頭の中だけでっていう(笑)」

R「もうなんかそういうのにとらわれるのやめよう、みたいな。だからここ5年くらいはやってることが変わらないんですよ」

H「”mind edit”以降はね。”mind edit”以降は”mind edit”だって話で(笑) マインドをやり続けるというマインドだから。なるほどなるほど」

R「もう個人のアーティストとしてのスタンスとしてはそういう感じだよね」

H「アライさんはそれが最大の特徴ですね。だから”mind edit”以降はまさにリョウ・アライなんですよね。リョウ・アライがリョウ・アライになったっていう」

R「そしたらね、何かこうリアクション的に手応えがあったんですよ。それまでのアルバムっていうのは色々試行錯誤をやりつつ、色んなボールを投げつつ」

H「一つのアルバムの中にボールが4つあったりしますよね」

R「そう、そういう作り方が自分でもいいと思ってたわけ。何かこう色々出来るよ、みたいな」

H「ドラムンベースも出来るよ、みたいな」

R「かといってドラムンベースアーティストっていうわけでもなくて他の面もあって」

H「まー時代に合わせて作りますよね」

R「それで幸か不幸か、あんまり手応えがなかったんで、そういうの全部やめて、そういうの抜きで作ったらどうなるかみたいな」

H「マインドで(笑)」

R「そうそう(笑)」

H「だから”mind edit”以降の何か質感の荒さがカッコイイっすよね。ドラムの一発の音とかが何か」

R「SP1200とか使い出して制作の面では何かつかんだんで。それでああいう感じっていうか」

H「しかも”Rough Machine“のrough、ラフですよね」

R「だから音響/エレクトロニカもちょっとこう… 」

H「かすめてはいましたよね」

R「やる機会がなかったっていうか」

H「やっても良かったんですけどね、でもやらなくて良かったと思います」

R「従来の流れで言えばやっちゃうはずなんです」

H「やる必要ないですよ、今からはね」

R「80年代はそれが当たり前だったの。Art of NoizeはArt of Noise、Aztec CameraはAztec Camera、Thomas DolbyはThomas Dolbyってそれらは別にリンクしてないんだよ。全部が別々だから。それで全部がROCKのAからZの棚にあって(笑)」

H「はいはい、確かにそうですよね(笑)」

R「CLUBっていうコーナーはないからね。それでMTVで全部並列にかかってっていう感じですよね」

H「それでMichael JacksonのPVもあればっていう話ですよね」

R「それでArt of Noiseの次にAztec CameraがあってCostelloがきてみたいな感じで、それが基本だから。その中で音楽的な選択として自分はあんまり歌いたいとかなかったから、そのArt of Noise的な、しかもそのArt of Noise自体にジャンル名とかついてなかったから。ZTTとか好きなんでしょとかせいぜいその程度で」

H「あのレーベルがっていう話ですよね、確かに確かに。だから”mind edit”がある種の自分の中の80’sマインドだったっていう普通に。もういいや90年代っていう風に」

R「いや、そこまでいかない(笑)」

H「そこまでいかない(笑)」

R「だって80’s的なことはやってないですからね、あのアルバムは」

H「しかし確かにAからZの中に全てが並んでいる、あの80年代、凄い話ですよね」

R「だから最初からジャンルで聴いてない。俺HipHop好きなんですよとかそういう感じじゃないから、結構アーティストで聴いちゃうっていうか。だからブリストル全部好きなわけじゃなくてPortisheadのアレがいいんだよ、みたいな」

H「Massive AttackとPortisheadは全然違いますもんね」

R「クラブ的にはMassive Attackの方が人気あったけどね」

H「だから結局その自分しか出来ないことをやれば一番それが速いっていう話ですよね。色んなことを勿論出来るんだけれども、やんなくていいかっていうところ、削ってった方がわかりやすいっていうか、見えますよね、アーティストの何かが」

R「でもね、それでだいぶ損してるっていうか。やっぱりね、一個人っていうことになっちゃうと雑誌とかインタビューで例えばどう訊いていいかわからないっていうか」

H「やっぱりシーンと絡めるのが早いっていう話になりますよね」

R「だからJAZZ系の人とかJAZZANOVAみたいのを作ってれば… (笑)」

H「わかります(笑) ただ、シーンと共に死んじゃいますからね、そういう人達は」

R「で、死んだら、また次の流行をやればいいわけで」

H「でもそれ… 」

R「結構そういう人多いでしょ?」

H「それはカッコ悪いじゃないですか、器用貧乏みたいで」

R「だからそういうのカッコ悪いんじゃないかなと思ったんだよね」

H「あと一番清いのはシーンと共にいなくなってくっていう人がいいですよね(笑) ホント消えちゃう人がいるじゃないですか」

R「一発屋みたいな」

H「それはいいですけどね。ただ確かにどこにいても居心地悪いっていう、しょうがないとは思いますけどね。そもそもそういうもんですよ、やっぱり。色々なシーンっていうのが過去を辿るとあったような気がするじゃないですか。でもやってる本人は勝手にジャンル分けされて勝手にその中に括られてるけど、作ってる人達同士はあんまりそんな意識ないっていうか、それと一緒で個人にしたら実際結構シーンとはそんなに関係してなかったりして。しかしアライさんが意外に関わりがないのがビックリしますよね。狭いのに意外とリンクしないのが不思議には思いますけどね」

R「交流が多いのは76年生まれですけどね(笑)」

H「だからテクノも知ってればエレクトロニカも知ってる世代ですよね」

R「ただ80’sを知らないから」

H「リアルタイムではですよね。いやでもModeDownには結局行けなかったんですけど、ModeDownに来てるお客さんは多分アライさんも知ってると思うんですけど、僕のそのEDIT CONFFERENCEの時のDJでモロModeDownですねって言われて(笑)」

R「言われた?(笑)」

H「えっこういうのをModeDownなんだと思って(笑) すげぇイベントかなと。そんなに80’sを流してるんですか?」

R「いや80’sを流してるのは僕だけだけど。それで他の人はearly90’sとか。80’sっぽい曲に808とか909の音が入ってきた時代」

H「若干ハウスしてるような」

R「ハウスとブレイクビーツが曖昧だった時代」

H「なるほど。僕は若干違うんですけど、そういう言われ方をされたのは初めてでModeDownですねって言われて、そんなイベントだったんだ(笑) ModeDownって」

R「だから間違ってもエレクトロニカとか… 」

H「ではないってことですよね?」

R「まず21世紀の曲がかからないですね(笑)」

H「21世紀なのに(笑)」

R「まず新譜がかからない」

H「あんまないですよね。まぁEDIT CONFFERENCEもそうですけどね」

R「普通の今のHipHopとかかけない。それ打ち合わせとかコンセプトじゃなくて、たまたまそういう奴が集まったっていう」

H「でもアライさんが全部ピックアップしたんですよね?」

R「そうそう。だからちょっと確信犯的だけどね。だって普通に今の新譜かける人はいっぱいいるから、それ誰でもいいってことで」

H「それでModeDownって最初に曲があってっていうことですよね?」

R「”Device People“っていうアルバムの中にModeDownっていう曲があって、イルリメがまずその曲をいいって言ったんだよね。それでそんなことありつつ、イベントやってってハコに言われてタイトル考えて、その時にイルリメとかも出てもらいたいなと思って、それでパッと浮かんだのがModeDownで、あーもうそれでいいかなみたいな」

H「エライ意味深なタイトルだと皆思ってんですけどね、ModeDownっていうのは」

R「あれでも凄い考えてつけたわけじゃなくて、まずねビートダウンっていうジャンルが」

H「ありますよね、デトロイトの」

R「それでダウンビートじゃなくて逆さにしてビートダウンって言葉として面白いなというのがあって、それでコンピが出てて、でもデトロイト好きじゃないから結局それ聴かなくて、聴かないままに言葉だけで、こういう音楽なんじゃないかなと勝手に作ったのがModeDownっていう曲なわけ(笑)」

H「なるほど(笑)、それ裏話ですね。あとあれなんですよね、曲名が面白いですよ、毎回意味深に思わせるような曲名なんですよ。カッコイイ用語がいつも並んでますよね。あれズルいっすよ。そこはどうなんですか、曲名については」

R「曲名は一番最後につけるんだけど。歌詞とかないから。アルバムの曲が全部揃ってから考えるかみたいなところで」

H「でもなんとなくアルバムによってトーンがありますよね、曲名の」

R「ある?」

H「なんとなくありますよ」

R「ModeDownもビートダウンじゃなくて何ダウンにしようかなっていって、モードにしようかなって」

H「それカッコイイですね。曲名はパッと出る方ですか? メモっとく方ですか? 人によって先にメモっといてピックアップするみたいな」

R「実際メモらないまでも、いくつか引っかかる言葉っていうのは… 」

H「考えておくっていう感じですか。あの小津安二郎監督は映画が出来ましたと、タイトルどうしようかってズラーッと並べてこれにしようかってつけて」

R「”お早う” とかつけちゃうわけでしょ」

H「アライさんも意外にそういう感じなのかなと思いましたけどね」

R「だって結局歌詞がないから、なんでもいいわけですよね。それでa,b,cとかそういう記号でAutechreみたいなのだとあれだから」

H「composition Aとか」

R「そうそう(笑) それもちょっとなぁって思って。一応アルバムタイトルも考えなきゃいけないし、そこはホント最後の楽しみっていうか。それでModeDownってビートダウンじゃなくてモードってパッって浮かんだんだけど、すごい後付けで考えると、流行からもう降りたと」

H「う〜ん、なるほど。それは”mind edit”以降ということで」

R「それで”mind edit”とかも一応オウムとかの事件を皆引き摺ってて、それであれマインドコントロールとか(笑)言葉あったじゃん」

H「一世を風靡しましたよね」

R「それでマインド何にしようかなと、それでやっぱエディットかなと」

H「いやーだからラテンラスカズさんも一番最初に反応してましたからね、マインドエディット、カッコ良過ぎるって。やられたって先つけられたって。あのタイトルはデカイっすね。それで長いタイトルないっすよね?」

R「文法が必要になるような曲は(笑) やっぱちょっとわかんないから」

H「確かに」

R「外人にModeDownって多分意味通じないと思うんだよ」

H「若干、和製英語に?」

R「完全にそうでしょう。”mind edit”もそうだと思うけど。そんな言葉ないから、全部造語っていうか。ModeDownって日常的にそういう言葉の組み合わせを使わないと思うし。そんなのばっかりだよ、基本的に」

H「日本人的には最高にカッコイイ響きがしますけどね」

R「アルバムタイトルをつける時に気をつけるのは、例えば辞書を引いていくらこの単語は意味がカッコイイからっていって言い辛いやつとかはまずやめてるんだよね」

H「”Rough Machine”もアルバムの名前、カッコイイですもんね」

R「だから一応日本語で通ってる言葉とか響きとか、それぐらいのなんとかかんとか。えっそれどういう意味ですかってわざわざ訊かれるのはイヤだなと思ってて」

H「何かその言葉尻のイメージで捉えられてもイヤですもんね」

R「よく英語でね、聞いたことないような英語を持ってくる人がいるんだけど、そういうのはちょっとイヤだなと」

H「まー辞書引かないと通じないのはちょっと痛い感じですよね。あと結局漠然と今までないものを作りたいっていうじゃないですか、当たり前の話ですけど。今まで作ったことがないものを作るって。で、曲を作るにあたって一応こんなの作りたいってイメージは結構先にある方なんですか?」

R「ある時とない時があって」

H「多分ない方がいいはずなんですよ。つまり自分の思ってるとこから出ないといけないから、考えてるとその部分から出ないような気がするんですよね。イメージさえもその中でしかイメージにないわけだから狭くなることですよね。なんとなく作ったらちょっと面白いかもってやっていくと広がりますよね」

R「それ理想的だよね。ただホントに何にもないと」

H「まぁ取っ掛かりがないと」

R「それはキツかったりするから」

H「なかなか先に進まないと」

R「僕の場合やっぱサンプルだね」

H「それは何か日常的に普段からサンプルしとこうみたいな」

R「最近はやってないけどやってた時もあるし」

H「そのキーになるサンプルはドラムとは限らない」

R「ま、ドラムもあれば」

H「ギターもあれば」

R「そうそうそう」

H「ギターとドラムのとこもあれば」

R「そうそうそう(笑)」

H「それが面白いですよね。それはもう普段からアンテナ張ってて良かったら録るっていう」

R「かなりそれに左右されるっていうか、結局その実際音を出してみて、この音いいとかブレイクいいなとかで、いじってる内に発展させてっていうようなことで、最初にこういう曲作ろうっていうような言語の部分ではそんなにはないけど」

H「ま、それ以外でやった方がいいでしょうね」

R「白紙の状態から作り上げてって、自分も考えてみなかったものが出来たとか、そういう歓びはあるけど、全部それだとキツくて」

H「それもそうですよね。でもアライさんは即興で組み立てていく派だから、意外に自分でも作っていく内に変化していったりとか、結構シフトが可能な感じはしますけどね。ガチガチに作っていくわけじゃないから、そこは何かオイシイ感じはしますよね」

R「でもね、最初にドラムンベース作ろうとかハウス作ろうとかいうのが多少あった方が楽は楽ですよ」

H「まぁそうですね。でもそれはそうじゃない方がいいですけどね、ホントは」

R「でもそうじゃないにしても枠はあって、なんでもいいわけじゃないから」

H「それは勿論、それはそうです」

R「だからノンビートとか変な凄いアヴァンギャルドの曲を作る日とかバラバラにあっても困るから。アルバムに一応入れるっていう想定で作ってるからバランスは考える」

H「で、今回新しいのを作ろうっていうのは一つのイメージがなんでしたっけ?」

R「えーと、BPMをちょっと上げる」

H「あー、今まで110前後?」

R「いや、100前後」

H「ロウビートですよね。じゃ120とか?」

R「上げるっていってもちょっとしか上げないんだけど。前のアルバムを調べたら6割くらい90台だったりしたから、ちょっと90台はちょっとやめようかなーみたいな」

H「あれ? でもEDIT CONFFERENCEのあのセットの時は結構BPMが速かったですよね? あれ120いってますよ」

R「あれはアルバムに入ってない曲を結構かけたんですよ」

H「あれ速いっすよね? テンポが結構」

R「あの時はMP3で作ったやつでエディットをガンガンやってるやつとかを集めたから。あと最近CDJでプラスいくつとか上げちゃうんで」

H「上げてます? やっぱり」

R「最近自分のアルバムの曲もすげえ上げてて。+5とか+10とか」

H「それはあれですか、MasterTempoを押します?」

R「うん」

H「ということはキーは上がってないってことですよね」

R「CDJはそれが出来るから」

H「それはいいっすよね」

R「だから結構最近ガンガンに上げてて。自分の中のBPMが今ちょっと上がってて」

H「なるほどね」

R「かといって130とかそういう風になると、あんまりこう、もう単調になってくるから」

H「でもLIVEをし出すと必然的にBPMを上げざるを得ない」

R「そうなんだよ」

H「ダンスフロアだから。120ぐらいにならざるを得ないですよね」

R「そこが前はイヤで絶対BPM変えなかった」

H「はいはい、それは発表した曲は… 」

R「これはこれだと」

H「はいはい(笑)」

R「さっき映像で見たっていうskamの時はまだBPMを変えてなくて」

H「自分でBPMを変えたら違和感があると思うんです」

R「もう最近は全然上げちゃってますね。でも元々DJをやってなかったから、まずピッチを変えるっていうことに凄く抵抗があったわけ。それで次の曲とBPMを一致させないといけないっていうのがイヤで」

H「なるほどなるほど(笑)」

R「この曲はこの曲だからみたいな感じで。1曲1曲勝負みたいところがあって」

H「(笑) アライさんのことを考えるにあたってはまずクラブミュージック以前とDJ文化以前の話をまずしないといけないですよ、毎回ね。インタビューを訊く方も読む方も皆DJ文化以降クラブ文化以降の人間が見たり聴いたりするから毎回そこの齟齬がありますよね。元々クラブなんかねーんだよってところから始まってるから」

R「あと自分の曲だけでDJする人もそんなに… いまだにいないっていうか」

H「いやーそれはあんまいないですよ(笑)。いっぱい出してる人ぐらいしか… 殆どいないっす」

R「でも僕はそれ奇をてらっているわけじゃなくて、自分で作ってて自分の曲をかけるの当たり前でしょっていう」

H「当たり前です当たり前です(笑) だから皆それホントはしたいんですよ(笑) それを皆作ってないから出来ないだけで、それが一番理想ですよ」

R「で、最初の頃はアルバムをそんなに出してないから曲が足りないんだよね。足りないからそれを埋めなきゃいけないと思って、それでMP3を」

H「とりあえずいっぱい作ったと」

R「ガーッと。だからLIVE用トラックっていうのも兼ねてるんだよね」

H「なるほどね。そういう理由もあるわけですね。だってあれ凄いじゃないですか。1日1曲とかザラじゃないですか」

R「いや、最初の1~2年は毎週2曲」

H「一番ピーク凄いじゃないですか(笑) 1ヶ月で30曲以上とかなかったですか?」

R「30曲はない。一番やってた時期は一週間に2曲っていうのを週刊誌気分で」

H「マンガ家ですよね」

R「マンガ家をやったらどうなるかと思って。それでMP3っていう形式を発見してやり始めたのは98年だから、そん時にHPの容量っていうのが5MBしかなかったわけ。それでMP3のサイズを減らしたいからモノラルにしてたんですよね、モノラルにするとデータが半分になるから。それで2曲upして大体もういっぱいなんですよ。で、まず2曲upして次の週に新しい曲をupする時には」

H「消さなきゃいけないわけですよね」

R「だから必然的に週刊連載みたいな気分になったわけですよ」

H「なるほど。で、曲はどんどん作ってどんどん消してっていう」

R「それで週に2曲っていうのをパターンとして決めて、そのペースで作ってた、最初の方は」

H「あれが一つのアライさんのなんか面白トピックでしたよね。とんでもない数をupしてるっていう」

R「アルバムとなると試行錯誤して凄い構えちゃうから、なんかこう身動きとれないなと。ガチガチに頭がなっちゃうから、そういうのよくないなと思って、ちょっとそういうの取っ払って作りたいなと思って。ただ家で作ってるだけじゃ面白くないから」

H「勿体ないっすよね」

R「それでMP3を作ったその日にupして皆が聴けるっていうのが、凄いモチベーションが上がったんですよね」

H「なるほどね」

R「アルバムから凄い自由になったっていうか、そういうことって今まで出来なかったわけで」

H「そうですよね。しかも限られた人しか聴けなかったわけですからね、デモとか」

R「うん。それでガンガンに作るモチベーションがそこで出来て、それで週に2曲っていうペースで」

H「それは凄いっすよ」

R「それでそんな完成度うんぬんというよりかは」

H「とにかくドンドン作る感じで」

R「その過程で必然的にエディットになっちゃったんですよね」

H「ほー、それはあれですか、時間が短いからってことですか? 曲の時間とか」

R「あんまり長い曲をup出来ないから時間が短いっていうのもあるんだけど。それはスケッチだから短いっていうのもあるし。結局打ち込む時に何にも考えないで打ち出したらエディットサウンドになったんですよね、エディットビートっていうか」

H「それは必殺技の、地が80’sだから」

R「そうそうそう(笑)」

H「普通にやれば80’sになるっていう(笑) なるほどね」

R「それが自分で結構面白かった」

H「普通に快楽になったっていう」

R「それで周りも反応良かったんで。あれ?この手法まだ使えるんだとか思って」

H「意外に反応もあるし、みたいな」

R「結局踊れるしっていうかクラブでもかけられるビートの強度があるから、だから結構いいなと思って。これでオリジナリティ出せるかなみたいな感じで」

H「なるほどなるほど」

R「そこで何十曲と作ってる内に結構つかんだんですよ」

H「研いてったっていうことですよね。でもあれですよね、最初ワンループものとか多かったですけどね」

R「まーそういうのもありつつ。ワンループものは作っててつまんないなとか思って」

H「そりゃそうですね」

R「やっぱりShadowとかそういうのにハマってないから、自分で聴いてて退屈なんですよ」

H「ラップするわけじゃないですからね」

R「だからサンプリングってこっから先ちょっとどうしたらいいのかなって。それでエディット… 」

H「ラッパーがいなくて最初良かったですよね。アライさんのすぐ近くに。ラッパーがいてワンループだけでいいねっていうことになっちゃうから。それでエディットにいったのは必然的なことで」

R「インストだけで聴かせたいとかクラブでかけたいとかそういうことを色々考えると、もう連打するしかないなって(笑)」

H「連打(笑) 確かに。出ました連打(笑)」

R「(笑) しかもそれを80’s的な音色でやるんじゃなくて」

H「80’sじゃ面白くないですからね」

R「今のブレイクビーツ以降の音色でエディットするっていう」

H「その辺がある種のモードダウンですよね。そのままやったらただのエレクトロになっちゃいますからね」

R「だからEDIT CONFFERENCEでかけてたのは前にMP3でupした曲なんだけど主にBxxxxxxSxxxxxのエディットだったんですよ」

H「あーなんか(笑) ああそうか。とんでもないサンプル他にも入れてましたよね。なんか女性ボーカルの… 」

R「MP3で一時Bxxxxxxシリーズがあって」

H「Bxxちゃんシリーズ(笑) なるほど」

R「しかもBxxxxxxのアルバムを買ったわけじゃなくて。昔Amazonが流行る前にCD.NOWっていうサイトがあって」

H「ほー、それフリーですか?」

R「いや通販サイトで、Amazonが今みたいにデッカクなる前にCDの販売とかしてたCD.NOWっていうサイトがあったわけ。そこで結構試聴出来たんだよ」

H「それをそのまんま?」

R「そこの試聴は大体RealAudioなんだけどBxxxxxxの新譜のがMP3だったわけ」

H「そのままそれそっくり戴きじゃないですか」

R「それ戴いて全部チョップして、それで作ったBxxxxxxシリーズがあって」

H「ずっと長い時間チョップされてましたよね」

R「全部チョップして、だからBxxxxxxでも何でもいいんだけどホントはDxxxxxxCxxxxでもいいんだけど、たまたまBxxxxxxを聴いてじゃーこれで作ろうって感じで」

H「ホント一瞬だからイエイとかそんな言葉尻のとこだけとか… 」

R「とりあえずそのBxxxxxxの1曲をズタズタにしてそれだけで作ってるから。ドラムとか足してないんだよ」

H「そのまんなそのドラムをチョップしてるだけですか。他から持ってきてるわけじゃなくて」

R「他の音源を足してないんだよ」

H「じゃホントにBxxちゃんエディットですね」

R「それを限りなくズタズタにして全部組み替えると、もうオリジナルになっちゃう(笑)」

H「要はあれですよね、EDIT CONFFERENCEで言ってたBxxxxxxに興味がないエディットシリーズですね。つまりBxxちゃんの曲は好きじゃないんだけど素材として如何様にも出来ますよっていうエディットですよね」

R「だからそれがドラxxんでもいいんだけど」

H「だから愛のないエディットシリーズですよね。あれ、愛のない方が得意なんでしたっけ?」

R「得意得意(笑)」

H「愛があると出来ないわけですね。それで異様にテンションがありましたよね、なんか」

R「それはもうずっと打ちまくってるから。パターンで作ってないから」

H「連打ですね」

R「連打を5分ぐらいやってる即興のドキュメントみたいなのを、ちょっと間違ったところとか良くないところとかを編集して。だから最初から通して聴かないとわかんなかったりするんだよね、途中からかけられないっていうか。ビートがドンドン変わってっちゃうんで。でも意外と皆ネタに気付かないんですよね」

H「それはわかんないですね。わかんないです」

R「Bxxxxxxだっていうとあーって言われるんだけど」

H「全部チョップしてるから、メロディを丸ごとループしてるわけじゃないから、わかんないですよ、やっぱり。とはいってもあれで多分出せないですよね?」

R「だけどその辺が微妙なんだよ」

H「ギリギリっていうか」

R「その辺の境界線は」

H「バレなきゃっていう」

R「一番わかりやすいのは声が入ったらその声でバレるっていうのがあるから、声のとこだけ全部抜いたらわからないけどね」

H「でもあれ声ないとちょっと寂しいですよね。声入ってもわかんないかな、でもバレたら大変ですよね。しかし異様な高いテンションの愛のないエディットシリーズは興奮しますよ」

R「それで愛がなかったけど、あれ結構ハマったっていうか自分的にBxxxxxxの音源と自分が相性が良かった」

H「ドラムの音の感じも良かったですよね」

R「ある程度自分でいいなと思わないと」

H「ドラムの音がイヤだったら多分やらないですよね」

R「そうそう、それはまずあったんですよ」

H「普通はでもBxxxxxxだったらボーカルだけ取ってきてドラムは別のものを持ってくるみたいな感じですよね」

R「だってアカペラネタとかないから。それだとBxxxxxxの12インチとかを買ってこなきゃいけないじゃん」

H「だから必殺技のドラムだけ録らない派ですよね」

R「だから1曲いいのがあればそれチョップして」

H「充分だっていう話ですよね」

R「それで絶対スネアだけ鳴ってるとことかあるから。それで別にスネアだけ鳴ってなくてもスネアとジャッっていう音が一緒に入ってても」

H「それは全部Recyleでカットするんですか?」

R「そう。それでジャジャジャジャジャッってなるだけだから。だから僕はトラック数が滅茶苦茶少ないですよ、シーケンスの」

H「マジっすか? だから32とかいかないってことですか。16で充分とか?」

R「16もいらないかも。だってその1曲だけをズタズタにしてるわけだから。便宜上作る上での数はあるけど」

H「じゃ最悪4とか?」

R「最悪1」

H「最悪1とかで全部鳴ってるわけですかドラムとかも」

R「だからキックとギターが一緒に鳴ってるとこをダダダって1トラックでいいわけだよね。ドドドとジャジャジャが一緒に鳴ってるから」

H「それ意外な話ですよ。多分皆の一般のイメージではもの凄く多い、32以上使ってんじゃないかなあの人はっていうイメージですよ。でもサンプルの仕方をみれば確かに必要ないですよね」

R「だから特にドラムブレイクとか探したことないね」

H「そこら辺がまさにHip Hop DJじゃない裏技っていうかネタ探ししないっていう、いい話で」

R「だから御題が与えられればBxxxxxxでもいいし何でもいいんだけどね。たまたまその時Bxxxxxxだったっていうだけで」

H「エディターはドラムブレイクだけで選ばないんですよ」

R「ドラムっていうかミックスの抜けとか、そういう方を選ぶよね」

H「ミックスの抜け?」

R「キックの音とか質感っていうかスネアの音とか」

H「そもそもミックステープとか聴いてないですよね」

R「そうそう(笑)」

H「そもそもカセットで自分でエディットしてたわけですもんね。それはミックステープ聴く必要ないですね。あとサンプリングについてサンプリングアーティストみたいな形で紹介されたことはないんですか?」

R「それはないかな」

H「意外にないですよね。あとサンレコの特集とかまだないんですか?」

R「一応だからアルバムのインタビューとかそういうのはあるけどね。それであの雑誌だけはいきなり作り方から訊いてくるから」

H「そりゃそうですよね。話が全部ツーカーですよ」

R「だって第一声がハットの音はっていきなりきたから」

H「(笑)」

R「ハットの音が入ってないですよねみたいな話で。だから普通ブレイクビーツでネタ作ってその上にハットを入れるんだけど、その音が聴こえないと。全く入れてないわけじゃないけど当たり前的に入れるのはイヤだから。あとブレイクビーツのネタ自体にもう入ってるから、足さないでいい場合は足さないで終わりみたいな時もあるし」

H「ますますあれですね、トラック数が少ないですよね(笑) それはホント不思議な話ですよ、凄く足してそうなイメージがあるんですよね」

R「勿論足してる場合もあるよ。なんかブレイクビーツでハットの音だけ808みたいなマシーンっぽいのが入ってるのとかがちょっとイヤなんだよね」

H「”mind edit syndicate”の時にインタビューで初めてエディットのことを突っ込まれてましたよね?」

R「その前にSPOTLIGHTから出してた80’sのミックステープがあったから、それをSpinbadの影響で作ったのかって訊かれて知らないよと」

H「それまた大発見ですよね。知らないで作ってたんだっていう。しかも80年代当時のエディターのLatin Rascalsとかも特に意識にないってことで」

RJellybeanは知ってたんだけどね」

H「まーMadonnaの彼氏としても有名でしたからね。ドメジャーですよ」

R「そういう12インチのextendedとかの名前で知ってたのはJellybeanだけで」

H「Jellybeanは大物プロデューサーで。アライさんもそういうのが大好きで、と思ってインタビューしたら意外と知らなくてまたビックリっていう。あのインタビューは面白かったですよ」

R「Latin RascalsもMr.Tobaccoの時に知ったくらいで。だから僕は80’sのドメジャーなヴァージョンしか知らないから」

H「しかもドメジャーが一番Latin Rascalsっぽかったりしますからね。ドメジャーが一番エレクトロだったり、Thomas Dolbyがホントにエレクトロだったり」

R「Latin Rascals、そういうのを専門的にやってる人がいるんだっていう認識で。ただLatin Rascalsで検索してもLatin RascalsのアルバムとかCDとかないから」

H「ま、一応オリジナルもあるんですけどね。でもオリジナルは良くないんですよね。彼等が裏方でやってるのが一番良くて(笑)」

R「それでそういうのがコンピとして出てないでしょ?」

H「なってないですよね」

R「そういうのあったら聴きたいけど」

H「EDIT CONFFERENCEで僕がDJしたのがああいうのが全部Latin RascalsがやってたB面のやつを僕がカットしてそれだけやったみたいな」

R「インタビュアー泣かせかもしれない」

H「そうですよ。インタビュアー泣かせなんですよね、毎回。毎回インタビュアーは困りますよ。Spinbadは知らないわ、Latin Rascals知らないであれやってるんだっていう。逆に凄いですけどね」

R「でも普通でしょ」

H「作り手としては勿論」

R「当時Latin Rascalsだけがやってたわけじゃないから、そういうダダダッっていうのは」

H「それは勿論勿論。普通にScritti Polittiの12インチ買えばダダダやってますからね」

R「そういうのを当時から普通に聴いててダダダッっていう感覚はあって」

H「勿論そうですね。いやだから80’sは不思議なシーンですよね。ドメジャーが一番ドエレクトロだったり普通にマシンガンだったり、不思議な時代だなぁという気がしますね。FOEとかとんでもないですよ、今聴くと。あれが一番カッコイイっていうか」



b2unitHOME CUT(以下H)「坂本龍一のB-2UNIT、あれ以上のエレクトロとかないですよ多分。超えられないっていう感じがしますけどね」

Riow Arai(以下R)「あの当時はエレクトロっていうキーワードはないけどね」

H「あーそうか、ないか」

R「テクノっていうキーワードもヘタするとない時代」

H「81年とかですよね」

R「B-2UNITは80年で」

H「1980年ですか、早ッ」

R「それであれ本人的にはダブだね。当時ブリストル系のポップグループとか、あの時ニューウェイヴ・ダブっていう感じがあって。実際Dennis Bovellがミックスとかやってて」

H「あれ共同でしたっけ? ダブといえばダブですね」

R「でもダブなんだけど、レゲエの生演奏の… 」

H「ダブ処理のダブとは違いますね」

R「そういうテクノサイドっていうかシンセとかで全部作って、しかもああいうダブっぽいことをやろうとしたっていうのが結局その後もないんですよ」

H「しかも音が全部切れ味の良い音を使ってて」

R「そうそうそう。あれが凄い日本人っぽいっていうか。それであの後ON・Uとか聴いたんだけど違うんだよね」

H「もっとモッサリしてますよね」

R「だからあれは後にも先にもない感じで。であれをBambaattaaとかが喜んで凄いかけたから」

H「あの80年ピッタリでB-2UNITって、そんなに売れないっすよね? 流石に」

R「一応YMOが凄い売れてた時代で」

H「ビックリしますよね、普通のファンは。坂本龍一が出したらしいよって買ってきて、とんでもねーよコレみたいな」

R「そうそう。でも僕はその時小学5年生だから、とんでもないも何もないわけよ。いいの悪いのの区別がないわけ。だから全部イイと思っちゃう、逆に(笑)」

H「全部聴いちゃうわけだ(笑)」

R「これが怖いんだよ」

H「壊れた小学生ですよね」

R「あれをアヴァンギャルドとか、当時のミュージックマガジンとか読めば色々書いてあんだけど、そんなものも読んでないから」

H「アヴァンギャルドっていう言葉も知らないですよね」

R「ただYMOの坂本龍一が出したって買ってきて聴いてるだけだから、いきなり」

H「ってことはそれを当時リアルタイムで聴いてた小学生がいっぱいいたってことですよね。とんでもない日本ですね」

R「それがしかもアンダーグラウンドでもなんでもないからね」

H「(笑) ドメジャーのYMOの一人が出しちゃうわけですからね」

R「メンバーの一人が出したっていって町のレコード屋に買いに行ってアレだから」

H「とんでもないっすよね。あれが今普通の中古レコード屋で5000円くらいですからね。あれを小学生で聴いちゃうととんでもない大人になりますよ」

R「ああいうのがあったんで作ろうっていう方向に」

H「それはねー、それは凄いっすよ。いまだにあれ以上の音楽はないと思ってますからね、ある部分で。あれ聴いた後にエレクトロニカ聴いても別に驚かないですからね」

R「それを言っちゃうと身も蓋もないっていうか」

H「いやー身も蓋もないですよね(笑) 80’sはとんでもないですよ。80年ピッタリってちょっと恐ろしいですよね。だって80年ってまだイギリスでSpecialsとかがスカやってる時代ですから(笑)」

R「だから同じ年に出したYMOのアルバムでスカをやってるんだよ、そういうのもありつつ」

H「裏のON・Uもやってると」

R「それが間髪入れずに同じ年に発売されて、同じく買ってきちゃう(笑)」

H「同列に聴いちゃう」

R「同列に聴いちゃう、小学生が。それでスカっていうこともよくわかってないわけ」

H「Specialsも遠いわけですよね」

R「そういう知識はまだなかったから」

H「なんか2ビートが入ってるなーみたいな」

R「いや、そういう知識が全然なかった」

H「となると、とんでもなく奥深いですよね、YMOとかのアルバムは」

R「そういうのをそういう年齢の時に聴いたのが良かった。それをね、高校くらいになってたらかなり冷めてて、あースカやってるよとか、これはもうダブだとかいう風に色々と批評しちゃうんだけど、その時は何もそういうのないから、まっさらな状態で」

H「YMOチルドレンは半端ないですよ。だって今の僕ら世代でもB-2UNITを知ってても聴いてない奴いますから。買おうとしても高いし買えないから」

R「CDが出てるよ」

H「後追いで買ったから、聴いたらションベンちびりそうでしたよ」

R「ホント?」

H「エレクトロニカ聴いた後にあれ聴いたから。超えてねーじゃんって」

R「逆に普通に聴けたとかそういうことはないの?」

H「普通も何もエレクトロニカが超えてねーじゃん、負けてんじゃんって」

R「それはYMOファンがそう思うのはよくある話なんだけど」

H「でもそういう感じでしたよ」

R「それが凄いよね。でもそういう人もいるけど、意外に普通じゃんとか」

H「意外にオウテカじゃんみたいな」

R「YMOとかも今の20代前半とか意外と普通じゃんとか。今聴くと打ち込みとか普通だから普通に聴こえるかもしれないけど、1980年なんだよコレ、みたいな話で(笑)」

H「しかも若い子とかスカとかも知らないし、カヴァーもしてるじゃないですか? 昔のソウルの」

RTighten Up?」

H「それとか知らないと尚更奥深さとかわかんなかったりするから。何かノッペリとした只のポップアルバムだねみたいに言われちゃうとちょっと違いますよね。それは色んな要因を含んでるから、その要因を感じられる感性がないとノッペリと聴こえるっていうか」

R「そういう時代背景を全くなしでB-2UNITを聴いて凄いコレはっていうそういう発見があったわけでしょ?」

H「そうですね、僕の場合オウテカとかも知ってて聴くわけですからね」

R「そのエレクトロニカ文脈で聴いたの?」

H「あれをエレクトロ文脈で買ったんですけど」

R「プラネットロックみたいなのが出てくると思ったら違ったっていう」

H「そうそう、もっと踊れると思ったから」

R「クラフトワークみたいなのだと思った?」

H「クラフトワークだと思ったらもっとスゲーじゃん、でしかも、そこら辺に売ってるエレクトロニカよりも前衛じゃんみたいな。音もカッコイイし、ジャケットもカッコイイし。何一つ90年代以降のものが勝てねーなコレって。しかも見たら80年ジャスト、流石教授とは思いましたけどね」

R「あれ海外でも12インチでカットされて出たけど、でもクラブでかけるために作ってないから」

H「ヘッドミュージックですよね。それであのアルバムはお金はかかってますよね? とんでもないシンセとかスタジオとか使ってるはずですよね? どうなんですか?」

R「いや特にかかってないかな」

H「かかってない? あれは結構宅録?」

R「いや宅録じゃないけど」

H「宅録じゃないけど壮大なあれではないってことですか?」

R「だってYMOがいたレコード会社のALFAのスタジオがあって、そこで作ってるから。それでミックスをロンドンでやってて、それがDennis Bovellで」

H「音の質感が全然違いますよね。YMOとは全く違いますよね」

R「僕が聴くとそんなことないんだけど」

H「僕の中で全く違いますけどね」

R「それは作風が違うから。使ってるシンセとか全部同じだから」

H「そうなんですか、へー。でも出音の飛び出し方とか」

R「それは坂本龍一が一番アヴァンギャルドに興味があった時期だから」

H「ホント言っちゃうとYMOファンにしてみれば悪い時期なんですよね。そうじゃないですか?」

R「そんなことない。まーB-2UNITは凄いポップな面を好きだった人には何コレっていう」

H「いやだから思えばアライさんの音の飛び出し方が完全にB-2UNITな感じなんですよね、イメージで。何かそこに直結する感じがする」

R「それは嬉しいですけどね」

H「飛び出し方が同じような感じがしますけどね」

R「それはやっぱりそういうのが入ってる」

H「でしょうね(笑) しかも小学生、とんでもないな(笑)」

R「小学生でヘッドフォンであれ」

H「ウオークマンが出始めの、一番あれじゃないですか新人類な感じですよね。世の中的には一番イヤな小学生ですよね」

R「でもねB-2UNITだけが特に好きっていうのはなかったよ。だからYMOのアルバム、高橋ユキヒロのポップなアルバムとかそういうのが全部並列なんですよ。YMOっていうのを軸にして全部並列に聴けちゃうわけ。そこが恐ろしいとこで」

H「それはもうYMOの教育が凄いですね」

R「もの凄い教育で。だからアヴァンギャルドもあるし、そうじゃないのもあるし、両方あるよっていう」

H「胸キュンとかあれもあるわけですよね。とんでもないっすよね」

R「それでマインドがズタズタにされたわけ。それでアンダーグラウンドでもポップでもないんだよっていう」

H「ポップでもアヴァンギャルドでもない」

R「っていうか両方やれよ、みたいな」

H「あとJBに憧れてヘナチョコファンクなんだけどカッコイイとか」

R「それTalking Headsもそうだし」

H「黒さに憧れてる白さもカッコイイですよね」

R「それでB-2UNITの場合はそこにJBじゃなくてSLYっていうキーワードがあったわけ」

H「それがさらにスゴイですよね。普通JBに行くんだろうけど。しかもriot in lagosですからね、充分暴動してますよ、あの音は。それでSLYの特に好きな理由って何かあるんですか?」

R「ファンクがどうしたこうしたっていう話よりかは、それも個人ってことになっちゃうのかもしれないけど、ノリノリのファンクが好きでとか結局そういうことじゃないっていうか、ファンクの中でも異端児というか実験的なSLYのセンスっていうのがあって」

H「そういえばFrank Zappaの話ってあんましないですよね?」

R「だって好きじゃないから(笑)」

H「そこ意外ですよね。あ、意外じゃないのか」

R「僕の中では意外じゃない。まず聴かない内の一つ」

H「マジっすか? ということはPrinceも聴かないってことですよね」

R「PrinceよりもMichael派だから」

H「だからPrince好きな人はZappa好きなんですよ」

R「その繋がりがわかんないんだけど」

H「すっ飛んでる感じ、ごちゃ混ぜな感じっていうか、やり過ぎ… 」

R「Zappaって完全にヘッドミュージックでしょ、あれ。Princeは別だけどグルーヴがないとダメなんだよ。プログレとかに聴こえるんだよね、Zappaとか」

H「プログレはそんなに聴かなかった派ですもんね。だってSLYですもんね」

R「プログレ世代でもないし」

R「やっぱYMOの抑圧から作られたB-2UNITって一応名盤って言われてるからさ、坂本龍一もあれ以降作ってないし、あれをもう1回やれみたいな意見もあるわけだけど」

H「あれが80年ですよね。厳密に言うとB-2UNITに繋ぐのは早い話(笑) Riow Araiしかいないっていうことなんですよね」

R「それは嬉しいんだけど、皆に怒られるよ(笑) 誰も納得しないと思うし」

H「いやいやホント(笑)」

R「顰蹙買うと思うよ」

H「ホントにそこを繋ぐ、その… 」

R「ここはちょっと載せられないね」

H「そこはちゃんと言っとかないと。どっちにしろ日本のエレクトロシーンというものがあったとするならば」

R「B-2UNITみたいなアルバムが1個ポコッとあって、僕がそれを継承してやるとかいって作っても多分とんでもないことになると思うんで(笑) ますますどこのジャンルにもハマんないみたいな」

H「そりゃそうですよ。そもそもB-2UNITがポッカーンと浮いてるわけですからね、確かに25年間浮いてますから」

R「そういう欲望はあるよ」

H「そうですよね。ポッカリ空いたものを作らないと。宙ぶらりんなやつを作らないと。収まったら終わりですから」

R「今そのタイミングが難しいね(笑) “mind edit”を作ったくらいの時が割とそういう気分だった」

H「ああ、自分のやりたいことやっちゃえって。まぁ何かしらの抑圧は必要ですよね。何か一発いきなりPOPなのを作るっていう感じでもないっすもんね? 別にとりたて」

R「あれは狙って作れるもんじゃないんだよ」

H「だから”mind edit”の、あの時のモチベーションの感じはしますよね。しかし意外とあれですよね、B-2UNITの話はしてないですよね?」

R「だってそういう突っ込み方する人はまずいないから」

H「一通りエディットの突っ込まれ方はされてますよね。Spinbadもされた。そう言われてみると不思議ですよね、B-2UNITとかね」

R「割とインタビュアーとかはYMOとかいうと皆流すんだよ。ああYMOか、で終わっちゃう」

H「繋げたくないってことですかね」

R「多分」

H「あと意外にB-2UNITの話だけをそんなに言ってる人もいないですよね? 皆言わないだけなのかな」

R「YMOとかその辺好きな人は皆好きですよ」

H「でも取り立て言わないですよね。B-2UNITを挙げてるDJとか」

R「それはいますいます。YMOとか坂本龍一とか好きじゃない人が唯一好きですよって挙げるのがアレだから」

H「あー、それがB-2UNITをチャートとかで」

R「必ずそれ。僕が思うには他の坂本龍一のアルバムもあるよってことを言いたいんだけど(笑)」

H「だからリアルタイムでB-2UNITを聴いてないDJがポンと聴くとB-2UNITになると思う」

R「それはわかる。じゃあれをクラブでかけられるかっていうとかけられるもんじゃないと思うし」

H「かけられないです。現に僕も1回もかけてないですから。あとヘタに家で聴けない。スゴ過ぎるから」

R「そんな凄い?(笑)」

H「そんな(笑) 凄いっすよ、アレは」

R「凄いかもね」

H「凄いっすよ。何かなまじっか聴けない曲ってありますよね、好き過ぎて。好き過ぎてっていうかなんだろうな、アレ」

R「そこまで言う人も珍しいよ(笑)」

H「そうっすか? 僕もうそんなにB-2UNITの話をしたのはアライさんが初めてですよ。取り立てて言う必要もないっていうか。それで当時のYMOファンはアレを並んで買う勢いですよね、しかもレコードですよね」

R「だってCDがないから」

H「しかもカセットに移してウォークマンで聴くみたいな。それがまたB-2UNITな感じがしますよね」

R「(笑)」

H「あれほらヘッドフォンで聴く音楽ですもんね、スピーカーで聴くってよりかは」

R「しかもそんなにレコードを持ってないわけよ。だからYMOのレコードと高橋ユキヒロと坂本龍一を毎日順番に聴いていくみたいな(笑) 他にレコードがないから」

H「なるほどねー」

R「しかもB-2UNITを聴いて不快感がなかったんですよ」

H「不快に思わなかった?」

R「それが自分でラッキーだったなと思って」

H「いやーそれがホント凄いですよね」

R「普通あれだったら不快な確率はかなり高いんだよ」

H「不快度指数はもの凄い高いですよね(笑) あんな不快度高いのはないっすよ」

R「あの当時Throbbing Gristleとかアンダーグランドも色々あったけど、そういうのは知らなかったし。ただ80年に高校生とかだったらそういう知識があるんだよ。だからそういうのと一緒に聴いてTGの方がヤバいよとか言ってる奴も多分いた」

H「そうでしょうね、確かに。それで少なからずともそういう小学生が全国に1000人くらいいますよね、確実に。わからず普通に聴いちゃってるっていう。わかるわけないですからね、違いが。怖いな」

R「でもその時聴いちゃって好きだったらアリになっちゃうんだよ。だから僕みたいな年齢でYMOは好きだったけど、要するに90年代以降のクラブカルチャーに全く興味ないし、聴いても面白いと思わないっていう人がサラリーマンで子供もいて、それでもB-2UNITは好きだっていう人は普通にいますよ」

H「あ、なるほどね。でも別にAutechreとかは買わないっていう」

R「僕もAutechreとか買って聴いてたけど、そのB-2UNITの衝撃度に比べれば… 」

H「そんなに驚きはしないですよね」

R「ただそれは自分の年齢の問題だと思ったわけ」

H「でも僕はAutechreを先に聴いて、B-2UNITが後で何これAutechreより激しいじゃんってのありましたけどね」

R「それを僕が言っちゃうとお前はYMO世代からそう言うんだろって一言で終わりなんだけど」

H「世代論になっちゃう。だからそれは僕ら世代が言えばなおさら説得力増しますよね」

R「そうそう」

H「いやだから僕もB-2UNITよりも先に現代音楽だったから、現代音楽聴いてればそんなにAutechreでビビることはなかったから」

R「まぁAutechreじゃビビらないよね」

H「だから何を皆そんなにAutechreのことを言ってるのかなと」

R「まぁ僕も何も知らなくてB-2UNITを聴いちゃったように若い子も何も知らずにAphexとかAutechreを聴いたんじゃないかな」

H「僕は90年代のリアルタイムの音楽ってそんなにハマってないんですよね、多分。90年代に70年代のジャズとか50年代の現代音楽を聴いたりとか」

R「僕の印象だと90年代ってそういう時代だよね」

H「細分化ですよね」

R「必ずしも新譜を追っかけてればいいってわけでもなく」

H「まーレアグルーヴ文化以降、新しいものがないっていうか」

R「全部がアーカイヴになって、それが今でも続いてるよね」

H「何をひっぱってくるかっていう感じで。とはいってもその90年代の話をしてももう2000年も6年経ちましたからね。2000年から早くなかったですか? アライさんなんか特に。あっという間に2000年から6年経った感じで」

R「経った経った」

H「ですよね、”mind edit”以降は特に早かった気はするんですけど」

R「だって音を変える必要がなかったし」

H「それで片やダブディスコシーンみたいなのがあって、彼等もそんなに変わる必要ないと思ってるはずなんです。意外と6年経ったよねみたいな感じだと思うんです、多分。”mind edit”以降はマインドしてればいいっていう話ですもんね。マインドしてることが最先端っていうか」

R「っていうかトレンドっていうのが、もうないじゃんって話で」

H「問題は2000年も6年経って… 」

R「個人の時代ですから(笑)」

H「だからますます批評が成り立たなくなりますよね。繋ぐ必要ないし。個人が作家論してるしかないですよね。アライさんは面白い、面白くない人もいるっていうだけの話で(笑) だから多分勝手にインタビュアーとかがアーカイヴとして繋いでいくしかないみたいな感じになりますよね。アライさんの今のこの新譜を、B-2UNITが面白いよねっていう25年のスパンとかけて話すしかないっすよね」

R「普通、雑誌のインタビューだったら、絶対そういう風にしないけどね」

H「そもそもB-2UNITを説明するのにページを割かないといけないし無理だから敢えてやめましょうみたいな」

R「センス的にも僕の作品とB-2UNITを繋げる人はいないっすね」

H「そもそもアライさんの音楽を80年代のエディットと繋げる人もそもそもいないですから」

R「それはね、怒られちゃう。お前坂本だと思い上がってるんじゃないのっていう」

H「まーまーでもそこをやっていくしかないっすよね。そこをやらないと広がらないっすもんね」

R「いや、だから」

H「あんまり言わない方がいい?」

R「別に僕は嬉しいけど、それ逆に広めてもそんなに(笑)」

H「広がらないかみたいな(笑) イヤでもエレクトロニカエレクトロニカ言ってる人間にB-2UNITを聴いてからエレクトロニカ言えっていうのは毎回言ってて。でも意外にB-2UNITの話は出てこないから、それどうなのかなと疑問に思ってて」

R「まー聴いてる人は聴いてるけど」

H「聴かない人は全然聴かないですよね、それでAutechreばっか言ってるから」

R「まず坂本龍一に興味あるかどうかっていう入り口があるから」

H「そうなんですよね、まずそもそもYMOに興味ないですもんね、Autechre聴いてる人達はね。そこは繋げたいっていうのはあるんですけど、繋げたいっていうか… 」

R「エレクトロ文脈だと近いんだけど、エレクトロニカだと遠いんだよね」

H「そっかそっか。エレクトロだとYMOも聴きますからね」

R「それでriot in lagosをBambaattaaがかけたみたいな話になって聴くっていうのはあるけど」

H「知識としてそそられますもんね。でもエレクトロニカ言ってる人間はニューウエイヴ興味ないですもんね。エレクトロ言ってる人間はニューウエイヴ滅茶滅茶好きだから」



RN_FLYERRiow Arai(以下R)「逆に2000年以降の問題では90年代はそうやってアーカイヴで掘り下げてっていうのはあるけど2000年以降はついにね」

HOME CUT(以下H)「掘り下げない?」

R「掘り下げないっていう感じにもなってる」

H「そういう新人類も出ちゃったっていう話ですよね」

R「だから松永コーナーの終焉にもなるわけ」

H「それは痛い。そう、それでバトルDJっているじゃないですか、スクラッチの。今のバトルのDJがスクラッチのレコードしか買わないんだっていう話をしてて、うわーそれマズイよねっていう話をしてて。だってスクラッチをする人間はそもそもスクラッチだけでレゲエのビートを表現するにはどうしたらいいかってやってたのにもかかわらず、レゲエ聴かないんだから面白い表現出ないよねって話をしてて。だからそれもそうですよね、掘り下げない」

R「それはもうスクラッチのためのスクラッチだから」

H「そうそう、そうなんですよ。これ問題ですよね」

R「だからスケボーでも何でもいいんだけど。スケボーやるためには雑誌のカタログ的にこのメーカーのこのスケボーがあってこういう靴があってパンツがあってそれで集めてっていう、そういうのと同じなんだよね。ターンテーブルっていうのがあってスクラッチっていうのがあってスクラッチ用のレコードがあってっていう、そういう集め方で終わりだから」

H「閉じて終わりですもんね」

R「音楽が好きとかそういうもんじゃないんだよ」

H「確かに」

R「それはもうスポーツだから。そのスポーツに必要な道具を揃えるっていうだけだから」

H「だからDJをやりたいDJなんですよね。別に音楽はどうでもよくてっていう。ますますそれ広がらないな。松永コーナーの終焉は痛いっすよね。一応今辛うじてタワーカフェのところで復活はしましたけど、そこら辺の装置、舞台装置を作っておかないと、ちょっとあんまり閉じるのはね。だからそれがイヤでEDIT CONFFERENCEは強引に他者と出会いましょうっていうのが僕のコンセプトだったんですよね。エディットだけで内輪でいくらでも出来るんですよ。そこをリョウ・アライとかムードマンとかとやらないと僕はやらないですよってラテンラスカズさんに言っておいたんですけどね。エディットだけでいくらでも出来るんですよね、そういう奴らもいるから適当には出来るんですけど、それじゃ繋がんねーだろって話で」

R「90年代はDJ文化の流れで相当に昔の音楽、モンドとかラウンジとかもそうだし、必ずしも皆ヒットチャートだけ聴いてるわけじゃなくて細分化もしたし、もうあらゆる面白いものを探すみたいな」

H「普通にEXOTICA聴いてましたよ」

R「そうそう(笑) だからまた2000年以降は変わっちゃったんだよ。いよいよ80年代生まれ… 」

H「そう、80年代生まれの小説家が教科書に出てくる小説しか読んだことない人が小説の有名な文学賞を穫るような時代になっちゃったから、そういうイノセンスな人達を評価しなきゃいけないっていう心苦しい時代にはなりましたけどね。新しい文脈っちゃー文脈ですけど」

H「いわゆるその90年代の悪循環って言い方するんですけど、空回りする、自分の届けたい届け先に伝わらない、でも関係ないところで意外にヒットする、で相手が見えないっていうのが90年代後半の感じだと思うんですけど、まさにアライさんがその状況ですよね。日本のシーンの悪循環のど真ん中にいるっていう」

R「それ凄いイヤだなぁ(笑)」

H「あと哲学的に言うと郵便的不安って言われる概念があって、自分の届け先に届かない、でも関係ないところに届いちゃう、誤配が起こる。ホント、アライさんそうですよね」

R「でも僕の場合その届け先がないから」

H「そもそも自分が目指したいターゲットがないってことで。そしたら海外でラップを載せられて届いたみたいな、そういう面白いことも」

R「ありつつね」

H「ホントに勝手に届いたんですよね?」

R「そうそう」

H「それで意外にいいからやりましょう、みたいな。それいい話ですよね」

R「今まであれだけMP3でupしてるのに日本人でそういうことする人はいなかった。いきなりやってきたのが外人だった」

H「結構ワンループものもあったにも関わらず。”RIOW ARAI+NONGENETIC“は思いっ切りドハマりでしたよね」

R「そう? 彼等ちょっと変わってて西海岸にいるのにskamから出してて、いつもトラックを周りのアメリカ人が作ってるわけじゃなくてヨーロッパ人とコラボレートしてskamから出してる」

H「元々の気質がそうだと」

R「だけど僕のことを何人かわかんなかったらしいんだよね」

H「そもそも?」

R「でも何かでHPに辿り着いて」

H「まー辿り着く運命にありますよね、そんな人達だったら」

R「それでMP3あるからMP3聴いて、これいいじゃんって話でそれでラップ載っけて送ってきたっていう」

H「それいい話ですよね」

R「最初迷惑メールかと思った、spamかなと」

H「skamからspamが(笑)」

R「いきなり添付で送られてきて」

H「普通それ開けないですよね。爆弾かもしれないし」

R「見たらMP3って書いてあるから、拡張子が。これもしかしてって思って」

H「そしたら意外に良かった」

R「それで僕のトラックにラップを載せたんだとか思って」

H「しかも意外も何もそのために作った位の勢いでハマってましたよ。逆にそういう変な人しかハマってこないみたいな。面白いですよね」

R「90年代以降は個々のオリジナリティよりかはジャンルとかシーンが優先されるっていうのがあって、それが結構痛いなって」

H「だから、多分その今回の例がオリジナリティというよりはコミュニカティヴっていうか」

R「え? それなに?」

H「ボーンと作りましたっていうか、その作ったものを横流しするシステムの方が90年代後半以降有効なやり方だっていうのがあって、アライさんのやり方がまさにそのコミュニカティヴといわれてるボンと作ったのを勝手にラップを載せて作ってきたっていう、作ったものをそれで終わらすんじゃなくて、作ったものを横流しして、流動的にさらす、そのやり方が成功した例ですよね。作ってハイ終わりました誰も触らせないじゃなくて、作って面白かったらドンドン何か変更してもいいし変形させてもいいし、オリジナリティを優先というよりかは」

R「僕がオリジナリティって言ったのはホントにラップを載せること前提っていうかHipHop作ることが大前提だったらもっと普通のHipHopトラックを作ったかもしれない」

H「あーだからそこも含めて、そこを目指してないからこそいいんでしょう」

R「いいんだけど、あんまり世間的にいいと思われないっていうか、そこがいつも半信半疑。そこがだからオリジナリティがあっていいですねっていう風に100%ならない世界だから」

H「まー孤島のミュージシャンになっちゃう。でも毎回言うようにジャンルで成り立ってるシーンだからこそジャンルでない方が強みはありますよね。絶対90年代のシーンってドラムンベースもあれだけ盛り上がって今もありますけど、結局ブームでシーンごと潰れちゃうから、それやっちゃうと這い上がれなくなっちゃうから。毎回スタイルを変えるのも器用貧乏みたいな話になってっちゃうんで残れないというか。だからやっぱ孤島のまんま、何か収まりが悪いまんまやる方が長持ちはしますよね。毎回収まりは悪いから達成感っていうか毎回胸くそ悪いような思いをしながらやるのかな(笑)っていうのはありますよね。あとあれですよね、イベントごとに呼ばれるシーンが違うっていうのは嬉しいんじゃないですか?」

R「自分ではね。自分では色んなの見れるから」

H「まーでも贅沢な話ですよ。皆オリジナリティがなくて困ってるところで収まりが悪いんだよねってのはいい話ですよ。やっぱそこ目指すべきですよ」

R「う〜ん、でもね、あんまりオススメしないよね。絶対だってHipHopだったらHipHopでいいに決まってるんだよ」

H「いやいやでもあれですよ、それは背負うのは大変だけど」

R「いや背負うんじゃなくて、既にあるじゃん。もうHipHopとかあるじゃん」

H「背負うんじゃなくて、ある中に入る」

R「第一人者はキツイけど、その出来上がってるとこに入ればいい」

H「入って飽きたらやめればいい。まーそうですよね。いやだから勝手に作ってそのシーンの人達がやろうよっていうのが一番楽ですよね。自分から行くのはちょっと癪じゃないですか」

R「でも殆どの人が自然にそれやってるよ」

H「何かしらの既存のものにすり寄せっていうか、アジャストするとこはありますよね」

R「だから僕は自分でそういうのがないと思ったから、一応ビートっていうキーワードを出したわけ(笑)」

H「苦し紛れに(笑)」

R「そうそう(笑)」

H「ビートって言ったら全部ですよね」

R「それで”beat bracelet”っていうタイトルを”mind edit”の次にね。そしたらビートなんとかビートマエストロとか」

H「でもそれはズルいですよね(笑) だってどんな音楽でもビートじゃないですか」

R「(笑)僕もそれ当たり前のことで、皆なんか取っ掛かりがないと聴いてくれないかもしれないから、じゃビートっていう標語出すよっていうかキーワードを」

H「それはまぁ皆ひっかかりますよね。マインドに行ってビートに行くと。マインドビートってまだないっすよね?(笑)」

R「そしたらライターとかがビートなんとかとか色々書き出したわけ」

H「それはだからいわゆるアライさんの術中にハマった、作戦通りってやつですよね。だってその位しかもう形容しようないですよね」

R「そうそう(笑)」

H「だってね(笑)、エディターっていうのもあれだし」

R「必ずしも全曲でマシンガンエディットやってないし、エディットっていうのもあれだから」

H「そんなに80年代してるわけでもないし。せめて言い方としてビート&エディット、違うな、なんだろ、ビート&ブレイクとかブレイクスタイルとか言ったりしますよね。それも何か苦し紛れな感じしますけど」

R「確固たるそういうシーンがあったりするわけじゃないしね。で気がついたらブレイクビーツを作ってる人があんまいなかった」

H「それ専門で?」

R「そう、専門で。ブレイクビーツシーンもいまだにあるのかないのかよくわからないし」

H「それ90年代から言われてますよ(笑) ブレイクビーツっても広過ぎて言えないっていうか。しかもアライさんの場合ブレイクがメインだったりするから。ブレイクビーツっていうよりブレイクみたいな。だからブレイクビーツのブレイクが8割くらいじゃないのかって話ですよね。ビートもメインだけどブレイクの方に重きみたいなのを置いてる面が。問題はあれですよね、ビートシリーズの後ですよね。次のアルバムタイトルが大注目ですよね。多分色んな言葉が」

R「まだ言わないけど」

H「多分色々ひっかかってるとは思うんですけど」

R「でもビートはビートですよ、勿論。次のアルバムがノンビートになるってことはないよ」

H「いや勿論勿論。そしたらまたビックリしますよ。またビートものだとは思うんですけど」

R「あとメロディを捨てたっていうのが結構重要」

H「そうですよね、確かに。でもメロディを捨てたのは早い段階から捨てましたよね。2枚目辺りですよね」

R「2枚目はまだ曲によってはやろうとしてた」

H「でもメロディは多分コラボレーションの時に、コラボレーションするアーティストにメロディは任せちゃった方がいいですよね」

R「それで去年やったのがRATNで」

H「そういうことですよね。それは逆に役割分担が出来て自然ですよね。でもあの最初のメロディを捨てた時のもういいやっていうのは何かあったんですか?」

R「まずサンプリングを中心に作るとメロディっていうのが難しくなるんだよね」

H「でもそもそもメロディは弾けるわけですものね」

R「シンセとかで作れば弾けるけども。う〜ん、何かそういうのって… プラス、サンプリング中心になってったのはLo-Hiがいいみたいなのがあったから、そのLo-Hiさといきなりシンセで上モノっていうかシンセでメロディつけたら、何かダサイじゃんっていう話で。それで一応音楽の三大要素としてリズム・ハーモニー・メロディ、その概念を壊すと」

H「はいはい、その3要素ね。そうするとメロディはまずやめますよね。で、ハーモニー… 」

R「完全にドラムの音だけ鳴ってるわけじゃないから。だからそれで一応ハーモニーは出るんですよ」

H「しかもサンプリングもバラでサンプリングしてないのが多いわけですからね」

R「だからベースとかも入っちゃってるわけね。それで普通はドラムを打った後にベースラインっていうのを」

H「普通つけますよね?」

R「作るんだけど、それをまず」

H「しないっすよね」

R「ドレミで音楽を作るのをやめた」

H「はいはい、西洋音楽の否定ですよね」

R「だからキーっていうのをまず無視」

H「ってことですよね」

R「自分で自分の曲のキーがわからないから」

H「(笑)そうか逆にあれですよね、コラボレーションするのにキーはなんですかってわかんないですよね。しかもブレイクが異常に長かったりとか、8小節だけブレイクでまたAに戻るとかないわけだから」

R「曲によってはそういうのもあるんだけど」

H「ない感じしますよね。ブレイクが異常に長かったりとか。それもそもそも壊してるわけですもんね」

R「だからその三大要素じゃなくてビートと音色だけ。音程じゃなくて音色」

H「あとあれですよ、音量(笑)」

R「だから日本でメロディがないっていうのが凄いネックですよ。メロディ大好きだから日本人は。だから聴く人が聴くと全部ドラムの音に聴こえると思うんだけど。それで入り方が全部ドラムみたいな入り方だから、エディットっていうか」

H「あの普通に黒人の評価は欲しいっすよね。思いっきりアフロな人達な評価を」

R「でも多分ね… 」

H「ヘンテコリンな何か… 」

R「その割にはトラックはヘンテコリンな」

H「やっぱニューウエイヴしてるなみたいな。とはいってもブレイクダンサーがガン踊りするようなリズム感なわけですからね。黒人が踊ってるのを見たいですよね」

R「白人はたまにお客さんでいて踊ってるのは見たことあるけど」

H「白人は好きそうですね。しかし音量は意外な発見ですね。メロディはやめるみたいな人はいるにしても。でもメロディをやめる分、音量にはいきますよね」

R「いや別にいかないでしょ」

H「いかないか(笑) で、ますますもうアルバムを経ていく度にドラムの音が太くなるような気はするんですけど」

R「う〜ん、でもそんなわけもないっていうか、使ってる機材は同じだし作り方は同じなんだけど」

H「”Rough Machine”好きですね。マシーンミュージックですもんね」

R「僕は結構直球なタイトルつけてるんだよ」

H「そうですか、ラフでマシーンですもんね」

R「でその”Rough Machine”の前が”Device People”。意味的には殆ど同じっていうか。機械人間かラフな機械か」

H「(笑)言ってることは同じかなと。そうそう直球ですね、タイトル」

R「機械っぽい人間か、人間っぽい機械か」

H「ホントにマシーンエイジの80’sのテクノのイメージですよね、だからKraft Werkの」

RMAN MACHINE

H「人間がマシーンを使って拡張した音楽の、人間が拡張してんのか、機械が拡張してんのかわからないですけども、なんかそのフィードバックの感じがいいですよね、機械と人間の。でもやってることは意外と身体性があって」

R「人間だからね」

H「マシーンになりかけてる人間なのか、人間なんだけどアンドロイドみたいなイメージ」

R「両方あるんだよ、両方」

H「意外に打ち込んでる時に汗かいてる可能性ありますよね、実は。実は興奮してるみたいな(笑)」

R「それはありますよ。だってとことんクールな音楽じゃないからね。クールでメチャメチャ淡々としたのを作るのは割と簡単だけどね」

H「ステップで打ってって」

R「そういうのも嫌いじゃないけど」

H「いやだからロックなとこで聴きたい感じしますよ。ロックなスピーカーの設定で”mind edit”以降の。とにかく大音量で聴くこと前提ですよね」

R「そうそう(笑)」

H「それは間違いないですよね(笑)」

R「”mind edit”くらいからクラブに自分が出るようになったから、それで鳴らした時に効力がある音楽っていうのも当然あるし、そんなにもう緻密な音楽やってもしょうがないなみたいな」

H「現場でね。ホント最初のアルバムの頃なんてベッドルームテクノ。時期的には一番いい時期だから。そういうイメージから変わるもんですよね」

R「そうね、テクノでもHipHopでもないものを作ろうとして」

H「宙ぶらりんなものを作らないと」

R「よく言われるのはエレクトロニカの人はHipHopって言うし、HipHopの人はエレクトロニカって言うし」

H「それは最高の表現なんですよ。それで知らない人がいきなりブレイクダンスし始めるっていう、夢の話ですよね」

R「一応最近のあれとしてはA-BOYからB-BOYまで」

H「(笑) アキバ君からB-BOYまで何でもこいで。出てこいやって感じで。あとあれっすよね、小説家が新しい小説を書く前に準備段階として海外の小説を翻訳したりするじゃないですか。そういうイメージなのかなって最初思ったんですよね」

R「でもそんなこと今、小説家はやってないでしょ。それやってるの村上春樹くらいでしょ(笑)」

H「(笑)それが言いたかったんですけど。それで彼は準備段階として鈍らないようにそういうことするじゃないですか。それでそういうイメージもあったのかなと思いきや、ところがそんな話じゃないっすよね」

R「でも探してはいるし、CDは買ってますよ。あと小説家ってことでいえば、僕は一人で作ってるからさ、全部最後まで一人で仕上げるから、それが結構メディア的にはつまんないっていうか」

H「関わりようがないっていうね」

R「インタビューもさ、アルバムを何枚も出してくると訊くことなくなってくるわけ」

H「(笑)」

R「特にコンセプチュアルに作ってないから、出たとこ勝負でビートだみたいな感じだから」

H「そこでまた何らかしらの」

R「言語化するようなイメージとかないから。どういう体験をしてそういう気持ちを表したかったとかそういうのもないし」

H「はいはい(笑)」

R「いいビート作りたいみたいな感じだから。もう訊くことがないみたいな」

H「なるほどなるほど」

R「それでその背景になるシーンが例えばスピンバッドだの別にないから。HipHopシーンがこうなってその中でこう作りましたとかでもないから」

H「わかります」

R「大体インタビューだと今回誰々ボーカルをフィーチャーしたとか」

H「既成事実だけですよね」

R「誰々とコラボしてとかそういう話で終わるんだけど。段々ホントに一人だけで何枚も作ってくると多分訊くことないんだろうなぁっていう」

H「今度から自分でインタビューするしかないですよね(笑) それはそうなりますよね」

R「それで一人で作ってたらいけないのかなぁ位の気持ちに思ってきて」

H「なるほどね(笑)」

R「一人で淡々とトラックメイカーで作って出し続けてる人ってそんなに… 」

H「いないっすよ。珍しいです」

R「それで今度はディスコダブやりましたとかそういうトピックもないから、マインドだから」

H「(笑)脳内ですね、確かに」

R「明らかにサウンドが変わったとかでもないから」

H「それでもうB-2UNITの話をしちゃえばもうないですよね」

R「それで去年コラボレートを2枚出したから、また誰かとやんないですかって言われるんだけどそれが結構イヤなんだよね」

H「そんなにやりたい人いないですよね? あの人とやりたいとか」

R「RATNも自分から企画したものではないし。ラップもたまたま送られてきたわけで。じゃそうやって送られてきた時にアルバムまで作っちゃうよっていうキャパシティはあるけど」

H「良かったらいつでもやるってことですよね。来る者は拒まずだけど自分から懇願してやりたいっていう人はいないってことですよね」

R「よくいわれますよ。誰と一緒にやりたいですか?とか」

H「多分いないだろうなって思いますよ」

R「いないっていうか、リミックスとかも誰のリミックスをやりたいですか?とかそういう質問があったとしてもリミックスって自分からやらせてって手を挙げるわけじゃなくて」

H「頼まれて出来そうだったらやるっていう」

R「だからやっぱ一人で作るソロアルバムっていうのが基本なんだけど、そうするともう訊くことないみたいな」

H「(笑)」

R「1枚目とかじゃないしなっていう。自己紹介的なことももう終わってるから。だから気分的にはもう小説家なんですよ」

H「あー」

R「小説家は一人で書くのが当たり前じゃん。あんまコラボレートとかないじゃん」

H「で、大体三部作だったり、毎回同じだったり、取り立て変わる必要もないし。主人公の名前も意外に同じだったりとかね」

R「それでいいんじゃないかなと」

H「それでいいはずですよね。そうかそうかそういう捉え方すれば確かにそうですよね」

R「J-POP的にはシンガーソングライターとかもそうなわけで、その人の声とかあってそんな声とか変わらないでしょ」

H「で、自分で作ってるっていう。たまにはコラボレートする時もあるかもしれないけど」

R「ただこっちのシーンだとそういうのが通用しないっていうか、何かトピックないと」

H「だってそれはもうアライさんだけだから(笑) 逆にSquarepusherもそうですよ。話すことないですよ。毎回いっぱい出して一人で作って凄い曲出すけど、また一人で作ったんですか、ああ凄いですねっていう話で。確かに訊くことないですね。そりゃそうですよね」

R「でもそれって基本的なスタンスじゃん」

H「そもそもそういうもんですよね。それで一人でそれだけアルバム作れるだけ成り立ってるんだから凄い話ですよね。映画だってそうじゃないですか。そもそも映画を毎回撮れる人なんてそういないわけで撮れてるだけでも充分成り立ってるわけだから。まぁ小説家っちゃー小説家ですよね」

R「だから”Device People”位の時に言うことがなくなってシンガーソングライターみたいなもんですからみたいなこと言っちゃってて」

H「取り立て似てる人もいないし、比べようがないし。それでだから出せるのが素晴らしい話で。ホントあの昔からそうですけど孤島のミュージシャンは孤島のまんまですよね。素晴らしいですねで終わっちゃいますからね。だから多分そこら辺の若者連れてきてアキバ君とB-BOYと普通のOLを連れてきてどう?このアルバム、みたいな感想を聞く感じとか面白いかもしれない」

R「でも皆同じこと言ったりしてね」

H「(笑)人種は違えど」

R「でも僕の側である程度見えるものはあるんだよね」

H「こう言われるだろう、みたいな」

R「それとOLをターゲットにするんだったらもうちょっとこうしなきゃいけないとか、あとエディットでラテンラスカズに気に入られるためにはもうちょっとこういうフレーズ入れなきゃいけないとか、あとB-BOYに気に入られるにはもうちょっとこうしななきゃいけないとか各々ね」

H「見え過ぎちゃう」

R「見え過ぎて僕の場合全部それやめちゃうんだよね」

H「そんなに見え過ぎてるからこそやりたくないと。だからこそその隙間みたいな?」

R「それよりもマインドを大事にするっていうか」

H「(笑)」

R「いや結構見失うんだよ」

H「マインドをってことですか?」

R「自分のやりたいことがわからなくなるんだよ。しかも何枚も出してると段々客観性が出てきて」

H「ちょっと小手先で見えちゃう、だからさっき言ったみたいにここに来るにはこうしたらいいっていうのが見え過ぎちゃうから。だからこそドンドンシャットアウトしてマインドに入っていくしかないですよね。でも素直にマインドに入っていくために色んな邪念を振り払ったり、そもそも俺ってなんだっけみたいなことを考えるわけですね」

R「そうそう」

H「初心に毎回帰る」

R「だからアルバム作る前は毎回悩むんですよ。何しようかなって一応悩むんだよ」

H「あんま悩んでそうに見えないですけどね。傍から見れば」

R「いっつもね、考えるには考えるよ。もうビートやめた方がいいのかなとか」

H「(笑)でもそれをアライさんのファンはこのアルバム10曲入れるのにボツが100曲くらいあるはずだよって皆思ってて」

R「ホント?(笑)」

H「絶対そうですよ。で、いっぱい作ったけどこれだけピックアップしてるはずだって思ってるはずですよ、多分。逆に収録しきれなくて困ってんだよねっていう風に思ってるんですよ。多分そんな悩んでるとか思ってないですよ」

R「もういい加減サンプリングミュージックやめようかなとかね」

H「それデカ過ぎですね」

R「たまに違う路線も聴いてみたいとか言われるから、違う路線ってなんなんだろうなとか。かといって違うことやったら違うって言われるし」

H「こんなリョウ・アライは聴きたくないとか。確かに今アンビエント出されても困りますよね。どう聴いたらいいんだよっていう」



mdx2Riow Arai(以下R)「あとModeDownとかもさ、僕が80’sとかかけても」

HOME CUT(以下H)「困るんだよっていう」

R「青春の曲をかけられてもっていう」

H「そういった意味でもModeDownっていうイベントをやってることはアライさんにとっていい新陳代謝だったんでしょうね。ここだけじゃねーんだよっていう、DJすることによって」

R「今のエレクトロニカやHipHopをかけてもいいけど、それは若い人がやればいいし」

H「毎回その話ですよね、皆が持ってるパブリックイメージのリョウ・アライと俺は普通に80’s好きだし色んな面持ってますよっていう」

R「しかも来てる世代がヘタすると80年代生まれだったりするから、そういう人達にとっては80’sサウンドってどうでもいいやっていうか興味を持つにはもう一段階必要っていうか」

H「もう10年必要ですよね。何してんの? アライさんってことですよね。最初ビビッったでしょうね。ファットなブレイクサウンドを聴きに来た人間があれー? みたいな。でもそれにハマったモードダウナーが少なからずいるってことですよね(笑) 意外にハマっちゃったっていうみたいな。それで僕のDJもModeDownですねって言われちゃうっていう。あれ、ModeDownってそんなおいしいイベントなのかと。ビックリしましたけどね。でも変なイベントですよ、ModeDownはきっと」

R「まぁ面白いんだけどね。僕のイメージとか取り敢えずおいといて、イベントとしてホントは僕のことを知らない人に来てほしいわけ」

H「(笑)あーなるほど」

R「僕はLIVEもやるんだけど、他の人は暗い曲は一切かけないわけ。アブストとか絶対かけないから。普通にパーティーとして楽しいパーティーなんですよ」

H「でもそれはリョウ・アライのイベントだから、リョウ・アライで来ちゃいますよね(笑)」

R「そうなんだけど、段々そうじゃない人もね」

H「段々モードダウナーが集まるようになって」

R「僕とかのイメージは取っ払って、ModeDown自体の面白さ」

H「メンツも相当面白いじゃないですか」

R「だからそれ自体を評価してほしいんだけど」

H「(笑)どうしてもリョウ・アライっていうね」

R「あのYouTubeのやつは見た? トークだけのとこの」

H「見ましたよ。ただのダラダラなイベントですよね。あそこだけ見たら(笑) あれ面白かったのは、じゃーそろそろまとめてって言った瞬間にえ−とModeDownの第一回目はとかって言って、もう一回第一回目から話すの? みたいな、面白いですね。なかなか終わらないしね」

R「そうそう、ああいうのもね、僕はネタとしてやってるんだけど。ネタっていうかなんていうのかな、別に最初から話す気はなくて。ああいう間合いで漫才みたいに、イルリメがもう行きますよって言った時にちょっと」

H「間があって始まんのかなと思ったら」

R「そこをちょっと茶々入れるっていう。かわすっていうか」

H「大人の会話ですよ。締めかと思いきや第一回目の話が」

R「で、第一回目からの話するのかなーと思いきや」

H「と思ったらやんないみたいな(笑)」

R「そういう二段落ちみたいになってるんだけど」

H「あれ面白いですよね」

R「ああいうのはもう馴れ合いで。打ち合わせとかしないで自然発生的にああいうMCになるんですよ」

H「あれがModeDownですよね。あれをやりたいんですよね? 別にリョウ・アライとかじゃなくてModeDownを楽しもうっていう」

R「僕が今まで呼ばれてたイベントとは全く違う雰囲気だから」

H「まずは出演者がああいう感じで盛り上がってないとね。あれがやっぱ理想型ですよね、イベントの」

R「お客さんがようやくModeDownとは何なのかっていうのをやっとこう認知してきた感じだから」

H「10回もやってきて」

R「ただ他のイベントではないような、もう好きなことやろうっていう」

H「ここではやらせてもらうよと」

R「そういうのを段々積み重ねていって、それでああいうノリになっちゃった」

H「(笑) あの喋りは長かったですもん。あれはもう朝方ですか?」

R「5時とか。あのトークの後に僕のディスコDJが始まるんですよ」

H「(笑)DeathDiscoですか。その時はSLYとか流すんですか?」

R「いやもっとベタなやつですよ」

H「え、もっとベタ? ABBAとか」

R「もうベタベタ、Dancing Queenですよ」

H「そっか(笑)、そうなんだ。なるほどね(笑)」

R「ABBAは普通に好きだったんだけど。そもそもDJはやってないわけだから」

H「そうですよね」

R「最初は80’sかけてて」

H「その80’sはScritti Polittiとか?」

R「そう、Grace Jonesとかもかけてて。それだけじゃ飽き足らなくなってきて」

H「ABBAいっちゃったと」

R「最初Chicをかけたの」

H「まぁまぁ気持ちはわからんでもないです」

R「そしたらヤバくて」

H「いいじゃん、と。Discoいいなと(笑) それ問題だなー(笑)」

R「そうなんですよ、問題なんですよ(笑)」

H「普通に気持ちいいですからね」

R「それでジンギスカンまでいっちゃったんだよ」

H「あー、いっちゃいました? しかも日本語ヴァージョンとかじゃないですよね?」

R「いや、そこにヒネリ加えないんだよ」

H「ストレートに? しかもそれはほぼフルで流すわけですよね? ベタをそこまでやるとベタじゃなくなりますよね」

R「そうそう。僕もまさかジンギスカンかけると思ってなかったから、自分で」

H「それModeDownの回を重ねるごとによって、ここまで辿り着いたと」

R「初期は最後が僕のLIVEなんだけど、LIVEやって冗談でマイケルを最後にかけてみたいな感じが段々」

H「味しめちゃって」

R「1曲が2曲になり、2曲が3曲になり(笑)」

H「80’sがDiscoになり(笑)で、ジンギスカンですよね」

Rヴィーナス、ジンギスカンにいっちゃって」

H「ジンギスカンの先はもうないですよね。ディスコおひょいでしたっけ?」

Rディスコお富みさん

H「そういうレベルになってきますよね」

R「別にギャグでやってないんだよ」

H「(笑) それが問題ですよね。普通に好きだしっていう」

R「僕もそういう機会がなかったらまともにジンギスカンとか聴かなかったと思うんだよ。自分でも発見があった」

H「それだから逆にあれですよね、DJの楽しさを味わっちゃったわけですよね。単純に流して踊ってる感じが。DJ中毒ですよね。だから別モンですよね、自分がLIVEやるのとDJするのと全く別ですよね」

R「そうそう」

H「気持ちも違えばマインドも違えばっていう。もしかして手とか上げてるんじゃないですか」

R「上げてますよ。もうガンガンですよ(笑) ModeDownの時はかなりハッチャけてますよ」

H「モードがダウンしてないじゃないですか。モードチェンジ?」

R「モードアップ」

H「しかも違うモードだっていう話で。もう10回もイベントやれば変化するもんだって話で。まさかそんなことするとは自分でも思わなかったですよね? 最初は。好き勝手やらしてもらうよで、ジンギスカンまで」

R「まー好き勝手っていうか好きなメンツを集めて… 」

H「だから好きなメンツを集めて好きなことをやるととんでもないとこまで行きますよね。飛びますよ、それは。制限ないですよ」

R「それを皆で打ち合わせとかしてなくて」

H「だからそれ一定のモードがあったっていうことですよね。好きなメンツ集めてやったら意外な何か皆のモードがあったと」

R「ModeDownはだからイメージを崩すかもしれないね」

H「(笑)でもそもそも崩しますよってイベントですからね」

R「客来る来ないっていうのはそんなに関係ないっていうか。こっちは仲のいい連中が勝手にやってるイベントなんで、こっちのテンションは異常に高いんですよ」

H「そのテンションにお前らついてこいって話ですよね。そもそもお客さんに標準合わせてないですもんね」

R「それでModeDownっていうカラーがいつの間にか出来上がったんですよね」

H「回を重ねるごとに」

R「それでHomeCutのDJがModeDownですねってお客さんに言われちゃうっていう」

H「それが凄いですよね(笑) だからそもそもそういう括りがあるんだっていうのが面白いですよね。ビックリしました」

R「なんかそういう括りがあるかの如く、独特のなんかあるんですよ、ModeDownのカラーが」

H「それはホント行かなきゃわからないですね。言われてみたものの、僕のどの部分がModeDownなのか。行かないとわからない。でも皆なんか凄くハジケてそうな感じはしますよ」

R「それでトップの23時からのDJもやるんだけど」

H「一番ユルい時間ですよね」

R「そこは日本もの、和モノをかけてて。やっぱ日本の曲をもうちょっとかけようみたいなのがあるから。かといってメインだとキツイから」

H「そこはやっぱ遠慮して」

R「その客入れの時にYMOとか諸々その周辺とかかけて」

H「初めて来たお客さんがリョウ・アライのブレイクサウンドを聴いて早い時間から行こうっつって、あ、リョウ・アライがDJしてるって言って、あれーYMOだーみたいな」

R「だから結構ポカーンとしてますよ」

H「でしょうね」

R「ちょっと歌謡曲みたいなのもかけるんで」

H「全く白紙になる。そもそもこれは何なのかみたいになりますよね。モードがダウンしっぱなしですよね」

R「でも真面目に言うとそういう曲を聴く機会ないだろうから」

H「ああ、若い子が」

R「聴いてほしいっていうのはあるけどね」

H「勿論勿論」

R「そんなこと言ってたらJAPANESE CLUB GROOVE DISC GUIDEっていう本も出たしね」

H「ただ、リョウ・アライさんの12インチを買って聴いてる人間がビックリするんですよね」

R「そういう人にはアゲアゲなサウンドで来て最後ちゃんとLIVEやるし。お約束的に」

H「ModeDownでやるLIVEは呼ばれてやるLIVEとまた全然違った感じがしますけどね」

R「それも自分の作品をずっとかけるわけだけど、段々図に乗ってきて」

H「KaossPadで散々焦らしたりとかしてそうですけどね、これでもか位の。まだ潜ってる、音がみたいな(笑) それはそれで面白そうですけどね。で、やりたい放題ですもんね」

R「それで終わってああいうトークをして」

H「Discoで終わると。ハチャメチャじゃないですか(笑) やりたい放題ですね」

R「でもなんかイメージ崩されたけど、そういう姿を見て面白くて良かったっていう人もいるし、ああやっぱ人間だったんだみたいな」

H「そうそう、マンマシーンだから」

R「良かったっていう人もいるし、イメージ崩れたっていう人もいるし。その辺は両方あるけど」

H「ただのオッサンだったって言われたら面白いですね」

R「結局皆こう楽しんでるけどね」

H「写真とかのイメージだとメガネかけてこうやってんのかなーみたいなイメージの人から見れば、人間で良かったと思いますけどね。マンマシーンのマンの部分だけっていう気もしますよね、ModeDownはね(笑) 喋るんだ、初めて肉声聴いたみたいな。身体性の復権じゃないですけど、アライさんが手を上げたりしてるのを見ると感動しますけどね。生ドラムでどうのこうのっていうのは全然考えないですか?」

R「それもよく言われるけどねー。それってでも結局」

H「パフォーマンスになっちゃう?」

R「LIVEでってこと? 僕そんなに巧くないし、やるとしたらドラムソロみたいなことを要求される方向にいくんだよ、そんなことやっちゃったら」

H「技巧を見るっていう感じになっちゃう」

R「元々そういうんじゃなくてロックとかそういうバックで叩くのが好きだから。ポップスとか。派手なソロとか出来ないから」

H「そもそもそれを目指したわけじゃないですからね」

R「でもその身体性としてあるっていうか一応叩いてたから、普通のトラックメイカーとかが打ち込まないフレーズとかを平気で打ち込んだりとか」

H「まーアライさんのあのブレイクの長さをみればなんとなくわかりますよ。フィルがどこまでもフィルみたいな(笑) フィルが終わらないみたいな(笑) あれはねーちょっとビックリしました」

R「あれはね、延々と出来ちゃうのは一応ドラムやってたから」

H「まーそうでしょうね。普通じゃしないでしょうね」

R「ああいうの手癖みたいにずっと出来るから」

H「フィルがだってフィルじゃなくなってますもんね。フィルがメインになっちゃってるみたいな」

R「で、ずっと続くっていう」

H「フィルってオカズって言われてるじゃないですか、あくまでオカズだから。それがメインディッシュになって、そりゃカッコイイですよね、確かに」

R「で、そのフィルの時ってテンションがクッと上がるじゃん? その上がった状態をキープする」

H「(笑) ホント、オカズじゃないですよね。一番それが盛り上がりますよね。フィルし続ける。しかもキープ長いっすよね? LIVE見てて特に思いましたけどね。うわー焦らしてるわ、みたいな。でもそっかLIVEだけじゃなかったんだ」

R「別にLIVEで打ってるわけじゃないから。最初からそういう曲なんだよね」

H「EDIT COFFERENCEだけにフィルが続くとこで盛り上がってましたよ。あれはでも興奮しますよ。興奮してるとこを持続してるわけですからね。それはもうキャーキャー言わざるを得ない。それでやってる本人はLIVEで違和感あるのかもしれないですけど踊ってる方としてはキャーキャー言いますよね、アレ。ギャーギャー言うっていうか」

R「それは嬉しいですよ」

H「ずっとエディットっていう感じですよね。曲が進まねーなっていう話ですよね」

R「でもそういう部分が既にフレーズになっちゃってる」

H「チョップしてる部分がテンション高いのか、チョップしてる作りが高いのかわからないですけど、ど偉いテンションですよね」

end or ‘to be continued’……


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