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editalk #2 + Homecut

editalk.gif 前回のeditalkは実は長い序章であり、10年を振り返っていこうというより、そのためのウオーミングアップがついつい長くなり、といった感じであったので、本来の目的通り各々の作品を振り返ってみようと再度試みたのが今回なのであるが、”Again”から”beat bracelet”辺りまで、つまりは前半の5年分をかなりイイ感じでトーク出来たのにも関わらず、使用したEDIROL WAVE / MP3 RECORDER R-1が途中不可解な停止をしたため、この部分がそっくり記録されずという不運に見舞われ、我々は一気にトークダウン。そんな仕方ない状態から、まさに”Again”の話をアゲインするところから始まる。(RIOW ARAI)


again_coverHOME CUT(以下H)「で、まぁ10年を振り返るっていう今回の大義名分ですね、そして10年分のアーカイヴを全部聴き直した中で、自分の10年前が76年生まれで20歳、リョウ・アライさんがFROGMANで95年にコンピレーション参加でアルバムが96年にリリース。ちょうど僕が20歳で感化されやすくて、青春の時代ですよね。これちょうど時代的に言うと初の野外イベントとして伝説のRAINBOW2000が8月にあって、その年の春、4月に出て。あの時代のそのテクノってものに対する… ああ疲れるなぁ(笑)」

Riow Arai(以下R)「(笑)」

H「日本のこれから何かが始まるっていう時代感とアライさんが25歳くらいでまだ若いってことですよね? だからそのシンセのトーンといい、音色が凄くその時代の空気感が包んでて、何気に10年のアーカイヴの中で光り輝いていたっていう、実はファーストアルバムが。何気に今回個人的に一番聴いたのが”Again“だったっていう結論だったんですよね。1曲が長い、平均が10分くらいですよね。その1曲の長さも逆に新鮮で、アンビエントも久々に聴き直して良くて」

R「10年前だったから良かったっていうか」

H「距離感がね。しかもこの10年、もう振り返っていいですよね」

R「自分でも久々に聴き直してみて、こんな事やってたなとか、この時はこういう事思ってたなとか、そういうのは音聴いて思い出すよね」

H「しかも前も言ったように色んなボールを4つ5つ投げた、ちょっと不思議なアルバムっちゃーアルバムですよね。変化球を織り交ぜながら、色んなリョウ・アライがいるみたいな。時期的にも最高の時期ですよね、96年、テクノ的に象徴的ないい時代でしたね… (笑) 多分ね、違う話した方がいいのかな(笑) 違う話した方が盛り上がるのかな。どうなんですか」

R「ね。こういう消えた場合ってどうすんだろうね」

H「どうすんでしょうね(笑) 多分ホントは違う話をするべきなんでしょうね、あれはあれでもう… 」

R「ガックリ。同じ話はテンション的に無理だよ」

H「もう1回話せったら話せますけど、明らかに笑っちゃいますよね、テンションが上がらないですよね(笑) だったらさっきの続き、”beat bracelet“の辺りから始めましょうか」

R「”bitter beats“っていうのが波形編集でやった実験的な… まぁビートはあるんだけど勿論」

H「フリーキー?」

R「手法的にサンプラーとかも使ってないし、要するに打ち込んでないんですよ。全部波形だけで」

H「なるほど。ってことは、今まで身体性の話してたじゃないですか、ドラマーとしての面とか。それで”bitter beats”の時は実は身体性がないってことですか」

R「そう。Macのソフトだけでやってるんで打ってないんですよ」

H「マウス作業?」

R「コピー、ペースト」

H「カット&ペースト、まさに」

R「1回実は間にそういう作品を出してるんですよ」

H「普通はでもあれですよね、サンプラーで作って、取り込んでカット&ペーストみたいな感じですよね」

R「それは”mind edit“でちょっとやってるんですよ」

H「じゃ普通にSP1200とかそういうんではなく?」

R「普通にブレイクビーツの波形をグニャ〜とさせたり」

H「まさにエレクトロニカしたってことですよね」

R「エレクトロニカ/音響に近いですよ」

H「自分ではどうですか? いわゆる汗かかないで作った感じですよね。non sweat beat… 」

R「それでMIDIっていう打ち込みから解放されて、かなり自由度は高くなって」

H「同期うんぬんじゃないですね」

R「そうそうそう」

H「ホントのこと言っちゃうとホントのマインドビートですよね。それはどうですか? 自分で」

R「面白かったけど、じゃそれで一瞬アルバムもこの手法で作っちゃおうかなっていうノリもあったけど」

H「それは起こりますよね。だけどって話ですよね?」

R「だけどそこでリセット」

H「そこのリセット感覚が毎回不思議ですけど、それはとりあえず1回そこで作ったからいいかなと思ったってことですか?」

R「ある程度その手法はその手法である制限があるわけだから、それで全ては凌駕出来ないから、それはそれとしてみたいな」

H「マウスで作るから必然的に多分ダンスビートを作らなくなりますよね」

R「でもそれは例えば普通にループ作ればいいんだよね。だからいつもと違うけど、そうじゃない良さって出せるから」

H「どっちにしろエレクトロニカっぽくなりますよね、その手法だと」

R「それで順番的に言うと”bitter beats”が波形編集でその次が”beat bracelet”ということで4枚目のアルバムになるわけだけど、実はその前の2000年に作ってるんですよね」

H「あ、既に?」

R「2000年に出すつもりで1回作ってて、それを保留にしてるんですよ」

H「2000年は士魂もありましたしね」

R「で、その士魂のは’wandering‘だから昔の曲をピックアップされて話題になったっていうのがあって、それはおいといて、それとは別にニューアルバムっていうのを2000年に出すべく作ってたわけだけど、”mind edit”の次ってことで。それはある程度アルバムのまとまりとしてイマイチ100%満足いかないとこがあって、1回そこで止めてるんですよね、寝かせたというか」

H「まとまりがある程度には作ったんですか?」

R「1回作ったんだけど、自分の中で保留にしたんですよね」

H「凄いですね。なかなか自分で保留出すの難しいですよね」

R「それでそれと同時に波形編集みたいなのをやってて、その新しい手法の。それで”bitter beats”っていうのが先に出るわけだけど。じゃもうそっちに行っちゃうかっていうのをまた行かないっていうのがあって。それで2000年に作って保留にしてたものを3~4曲差し替えて、2001年にもう1回温め直して曲を入れ替えて再構成したのが”beat bracelet”。それはサンプラーで作ってるから、”bitter beats”だけちょっと実験的なんだけど、その手法でいかなかったっていうこと。結局サンプラーで打ってる方を選んだっていうのがポイントっていうか」

H「それはやっぱりドラマー気質な感じなんですかね」

R「っていうよりも”bitter beats”は実験的過ぎるっていうか、そういう側面もあるんで。それで12インチで出たんでそれはそれで昇華されたんだろうね。だからちょっと外れて実験的なことやったけど、それはそれでおいといて”mind edit”の次のアルバムっていう感じでまとめたのが”beat bracelet”だよね。ここでいよいよビートっていう言葉出るわけですけど(笑)」

H「ここもうビート三昧ですよね」

R「だからマインド三昧の次はビート三昧なんだよね(笑)」

H「どんな三昧なんだ(笑)」

R「”mind edit”、”mind syndicate“のマインドシリーズ、これでアナログも出て、これでちょっと当時のシーンと関わりが出来たというか、リンクしたみたいなのがあって。アンダーグラウンドなビートとか音響とかエレクトロニカとかありつつ、その流れで士魂もあって、イイ感じでこう… 」

H「イイ感じって何か適当だな〜(笑) まぁまぁ、時代とリンクしつつ、時代のど真ん中というか」

R「で、そのタイミングで出たのが”beat bracelet”なんですよね」

H「荒々しいビートが求められていた側面もあって」

R「これが一番メディアとかも食いついたし」

H「ジャケの印象がデカイですよね」

R「ジャケは評判良かったですよ」

H「音のイメージと相まって」

R「それでこれでついにアナログ2枚組、LPとして出たんで、CDと同時に」

H「贅沢ですね。これはプレスもイギリス?」

R「”bitter beats”でやったイギリスでそのまま引き続きで。音圧はもうOKみたいな感じで」

H「ここら辺から皆さんクラブでガンガンかけ出したというか。LPじゃなきゃ困りますみたいな。アナログじゃないとアライさんは困りますみたいな。士魂からそうですよね。まだそんなに皆CDJを使うような時代でもなかったですし」

R「いまだにやっぱりアナログだけどね」

H「日本のDJは特に。アライさんは特にアナログを求められている数少ないアーティストで」

R「”mind edit”の時はまだBPMが遅いやつとかもあって、即戦力的な意味で言えばよりフロア対応になったっていうのが”beat bracelet”」

H「まービートがどんどん太くなってますからね。あとこの時点でもう音がデカイっていうか太いっていうか」

R「そう、デカイのは”mind edit”からデカイんだけど。自分でマスタリングしてるから。それで”mind edit”はまだリスニング寄りみたいなとこがあるんだけど、”beat bracelet”はいよいよ」

H「クラブですよね。デカイ音で聴いてくれと。ベッドルームテクノじゃなくて」

R「で、この辺から僕もLIVEとかやってるんで」

H「ついに顔を出すようになったと(笑)」

R「リキッドルームとかそういうとこでもやるようになるし」

H「それでこの時代はもうDJっていうかCDJで自分の曲を流すっていうか」

R「もう今のスタイルですね」

H「カオスパッドは?」

R「カオスパッドはまだ買ってないですね」

H「じゃー自分のビートトラック集みたいなのをCDRに焼いてDJするというか。今ほどエディットエディットしてるわけでは… 」

R「ないよね」

H「結構ロングタイム、ロングスパン?」

R「割とっていうかいまだに結構そうだけど最後までかける」

H「まだBPM変えないみたいな。それでタイトルに込められた意味っていうのは?」

R「結局だから音楽的に何か示さないといけないと」

H「それはあれですか、今までは… 」

R「まーマインド、マインドって言っててもさ(笑)」

H「マインドって何だっていう話ですよね。それでその前にも実験的なものはあったし、ここからはビートかなみたいな」

R「それでイベントとか出るようになると踊らせないといけないみたいなのもあるじゃん」

H「はい、そんな実験してらんないなと」

R「”mind edit”だとまだそんなにフロアを想定してなかったりもするんだけど。”beat bracelet”に行き着くまではLIVEとかもやってきてるし。それでその間のLIVEっていうのはMP3集のトラック、ビートエディットものとかガンガンやってたんで、LIVEはそういうのでやってたんだけど、それをふまえて、じゃもうアルバムでも」

H「最初から?」

R「そう。だから”mind edit”と”beat bracelet”の違いはフロア対応により特化させるっていうか」

H「そんな中で自分も現場に立つようになったし、という状況で」



beatbraceletRiow Arai(以下R)「それでアナログも同時発売で。全曲使えるぐらいの勢いで」

HOME CUT(以下H)「それ毎回言ってますよね(笑) 全曲って普通アルバムって2曲ぐらい使えてあとはちょっとなみたいなのが多いんですけど」

R「結果的にはそうなるかもしれないんだけど、意気込みとしては全曲」

H「凄いですね、男気溢れる」

R「DJの選択肢を広げるっていうか、3曲くらいしか用意してなかったら3曲しか選択肢がないんだけど、10曲の中からっていう、選択肢が多い方がいいかなと思って」

H「凄いですね、DJ以前の人間がついにDJのことを考えくれたっていう、これなかなか嬉しい発見で」

R「そうそう、だからこっちから3曲って絞っちゃうとさ、つまんないから。10曲ビートを用意するから、その内の好きなのを使って下さいみたいな。それで自分も当然かけるし」

H「やっぱりだから一緒に踊ってほしいんだって普通に思ったってことですよね」

R「結局そこがクラブの限界だと思うんだけど」

H「クラブの表現の限界ってやつですよね(笑) 踊るのが良しっていう」

R「だからそれ以外の表現とかリアクションっていうのが結局成立しないよね。エレクトロニカとか音響のPowerBookでLIVEやるみたいなのもこの辺の時期から始まってるんだけど、2000年位から。それで皆ジトーッと聴いてる感じとかそういうのもなーっていう」

H「違うかなと」

R「だからそこはある種の割り切りっていうか。それでLIVEをやるようになってMP3のビートトラックとかかけてて結構踊ったりしてて、それしかないよなっていう感じもあったし」

H「やっぱり目の前でそういう反応があるっていうのは作り手として嬉しいですよね」

R「それでそれを全部否定する理由も別になかったから」

H「そりゃそうですよね」

R「ダンスミュージック否定っていう方向にはいかなくて。あとイイモンだったら踊ると」

H「そのイイモンって難しいですよね。さっきからイイ感じとかイイモンって(笑) それはつまり多少のBPMが変化しようがって感じですよね」

R「”mind edit”の時に全部振り切ってマインドだって言ったのは結局シーンとかマイナーとかメジャーとか日本のシーンがどうしたとか色々あるけど、とにかくイイモン作りゃーいいんでしょ、みたいなそういうのありましたよ。マインドっていうキーワードとイコールになってるんだけど、とにかくイイもの、シーンとかそういうんじゃなくてさーみたいな」

H「で、そのイイモンっていう中の選び方がダンスだったっていう」

R「それはやっぱりクラブの中でやっててイイモンって言ったら結局踊れるモンってことじゃん」

H「踊れてナンボってやつですよね」

R「それでそこと自分のオリジナリティっていうかオリジナルの作品のバランスとして、踊れればいいだろって別にトランスとか作るとかじゃなくて」

H「4つ打ち作るわけじゃなくて」

R「自分なりの個性の中で踊れる方向のトラックにいったっていうか、自分でそういう方向性を定めたっていうか。それで普通に80’sとかポップスとか何でもいいんだけどイイモンっていうのは結局首が振れるんですよね」

H「あーなるほどね。まーそうっすね」

R「静かでいい曲とか勿論あるんだけど、そういうのはおいといて、結局いい曲ってクラブトラックとかそういうんじゃなくても乗れる曲だっていう、大枠として」

H「意外と古典的なとこにいきますよね」

R「今何がきてるとかそういうんじゃなくてイイモン作りゃーいいんでしょ、みたいな」

H「現場で自分の曲を流してる前でお客さんがいるっていう状況は変わります?」

R「うん、それを流して皆が踊ってるっていうのが盛り上がるっていうことで、盛り上がった時がいいLIVEって言われることで。誰も踊ってなくて、いや〜今日はでも内容良かったよみたいなことは言ってくれる人はいるかもしれないけど、結局それって… みたいな話になっちゃうっていうか。そこが難しいんだよね。だからこっちがやってることじゃなくてお客さんの反応でバロメーターが量られるみたいなことがあるから。誰も踊ってないけど良かったよ今日のLIVEはって言われても別にそこは」

H「嬉しくないんでしょ?」

R「こだわってもしょうがないっていうのが現実的にあるわけじゃん。やっぱりお客さんがワーッと踊ったら今日は良かったよっていう話になるわけだから。それを誰も踊ってないけど良かったよっていう価値観が結局クラブでは成立しないんだなっていうのが」

H「それをクラブ以前の人間が痛感したっていう」

R「ポップスじゃないわけだから、歌聴いて今日のコンサートは良かったなってそういう価値観もないし、かといってノンビートかけてて、皆黙って聴いてて腕組みして聴いてて今日は良かったっていうそういうのもいいんだろうけど、せっかくビートトラック作ってるんだから結局踊って盛り上がるしかないよなっていう。音響でノイズ出して今日は良かったっていう方向じゃないわけだからスタンス的には。結局ビートを打ってる限りは踊れる方向にいかないとどうししようもないっていうね」

H「しかもダンスフロアで流れてるわけですからね」

R「でもそこに行くまでは躊躇してる部分もあったけどね。踊らせるだけが音楽じゃないだろっていう、そういうのも人並みに考えたりもしたけど。結局落ち着くとこに落ち着いちゃうっていうか。全部自分が作ったトラックでそういう状態になるっていうのが、それはそれであんまいないかなっていう」

H「自分の曲だけかけるDJって考えてもそうはいないっすからね」

R「自分が作ったトラックで踊って盛り上がれば、それはもうそこの勝負は勝ったっていうことだから。そこのところはDJと目的は同じかもしれないけどDJは他人が作ったトラックをその組み合わせで勝負するけど、自分は自分でオリジナルトラックを作ってるから、それだけで同じ状態までもってくっていうのが一つの目標であって」

H「だからますますビートに特化してますよね」

R「そこでだから直球だよね、ビートってつけてるわけだからね(笑)」

H「疑いようもないです」

R「当たり前のことなんだけどね、だから」

H「今まではひねくれてたって言えばひねくれてた」

R「皆ビートで踊ってるのは当たり前だから、それを正面切ってビートって言ってるだけの話だから、方便っていうか」

H「当たり前のことを当たり前に言ってるっていうか」

R「だからそうやってタイトルでわかりやすくするっていう。テクノとかなんとかジャンル名じゃなくてビートってことで」

H「ビートって言っとけば何でもビートですからね」

R「何でもビートじゃんっていうことを正面切って、タイトルにもってきちゃうっていう発想はないと思うんだよね、あんまり」

H「ホント直球ですよね。覚悟を決めたっていうか決めましたっていう」

R「最初の方リスニング系だったからよくわかるんだけど、やる現場は結局クラブだからリスニング系でもしょうがないっていうのはあるんだよね、ホントに」

H「アンビエント部屋みたいなのもありますけどね」

R「アンビエントはアンビエントでチルみたいなことでしかないから、そうでもないよっていうのもあるし」

H「タイトルはすぐ決まりました? この吹っ切れるまでの」

R「beatが先だったかbraceletが先だったか… ちょっとわかんないけど。それでその前に”bitter beats”っていうのがあるけど、それはbitter sweetっていう案があったわけ(笑)」

H「えらいまたベタな話で」

R「仮タイトルが」

H「オールナイトニッポンですね」

R「苦いか甘いか両方あると。2000年に1回保留にした時のタイトルがこれで。それでbitterの方は”bitter beats”に生き残ったわけ。sweetの方は流石にsweetじゃないよなっていう話になったから」

H「一番sweetっていう言葉から遠い人間のような気がしますよ。でもまぁbraceletはある種女性的な… 」

R「braceletって女性のアクセサリーだけど、手錠っていう意味があるんですよ」

H「そんな重たい意味が… 」

R「要するに輪ッカっていうか。まぁでもこれも響きだけどね」

H「あ、言っちゃった(笑) 結構響きは毎回大切にしてますもんね。そういえば”Again”ってなんでアゲインなんですか? いきなり再びですよ。ファーストがアゲインしちゃったっていう」

R「これも意味ないよね、ないっていうか響きだよね(笑)」

H「あ、言っちゃった(笑)」

R「ジャケはアルファベットだけど、レビューとかどこかでカタカナで書かれる時もあるから、そのカタカナの感じも良かったっていうか。後付けとしてはテクノってループでしょ? 繰り返すと。それでloopっていうタイトルにはしないけど」

H「そりゃもうベタ過ぎますからね」

R「loopとかrepeatとかその辺の感覚で選んで”Again”。それで”beat bracelet”の時はなんとかビートとかそういうのは… 」

H「”なんとかビート”はダサイっすね」

R「その辺で結構迷ったかもしれないね。それでbraceletっていう言葉が浮かんでbeatとくっ付けたら良かったっていう感じだよ多分」

H「”ブレスレットビート”じゃなくて良かったですね。それで次のEPは2003年ですか。この空白の2002年は」

R「2002年は何も出してないんですよ。だから”beat bracelet”が2001年の11月だからまだそれの余波が続いてるっていうか、それでLIVEとかが多くなったよね。アルバム作りは保留で。で、この頃外から見えやすい動きになってきたっていうかアルバムを単に出してる人っていうだけじゃなくて」

H「ここまでホントにアルバムの人ですからね。素性がわからない、知れない。ここまでマインドってことで一人で何でもこなす人間がコラボレーションし出した感じもあって」

R「イルリメとかMr.Tobaccoもこの頃ですね。それで大阪のSPOTLIGHTっていうイベントに最初出たのが1999年なんだけど、そこでMP3トラックでLIVEやり始めて、それは”mind edit”を出すちょい前で」

H「あーそんな前ですか」

R「HPでMP3を98年から始めてるから、”mind edit”出す前は既にトラックが貯まっていて、その中でエディット系というかエレクトロっぽいのを集めてLIVEやって手応えがあって、それがその後のLIVEに繋がってる。自分のトラックで結構踊らせられるみたいなのがあって。それで2002年くらいだと2000年以降のシーンみたいなのが漠然とあって。何シーンっていうのか全然わかんないけど僕もその中で若いと思われてた感じがあって。人によっては士魂の時期に知って、もっと若いかと思ったら年くってたみたいな」

H「もう”Again”とか知らない人達ってことですよね」

R「それで2003年に”mind edit”がLEAFから出るっていうのがここで決まるんですよね」

H「それは凄いいい話ですよね。LEAFって音楽的なビートを作るいいイメージがありましたよ。バキバキなリズムだけの12インチを出すんじゃなくてジャズ寄りだったり、何か音楽的に豊かなレーベルで」

R「それなりにキャパシティが広いレーベルで”mind edit”も受け入れられたっていうか」

H「あれまたハサミのジャケも印象深いですよね」

R「そのLEAFでのライセンスリリースを機に再発ってことにしてジャケも変えて。それでsoup盤に国内盤としてボーナストラックをつけようと、それで考えたのが”mind syndicate”、この12インチでしか出てないやつ。これはCDで出てないからCDの容量に出来る限り入れて、”mind edit”と”mind syndicate”が1枚の中に合体したと。だからボーナストラックが13曲っていうことになって」

H「どっちがボーナスだかわからないっていう。ボーナスがボーナスじゃないじゃないですか(笑)」

R「それで”mind edit syndicate”になったわけですね。再発盤が」

H「なるほどね(笑) どっちがメインかわからないっていう」

R「メインっていうか2in1状態だね」

H「ちゃんリンシャン状態ですね」

R「でもそれをまたニューアルバムだと思って勘違いした人がいるんだけど。つまり士魂以降の”beat bracelet”から聴いた人が”mind edit”がニューアルバムだと思った人がいて、ちょっとややこしかったんだけど。それでLEAFの方で”mind edit”のアナログLPの他に12インチをカットしようというのがあって、それは”mind edit”からもカットするけど違う音源からも選びたいっていう話になって」

H「それはそれで嬉しい話ですね」

R「LPはLPで出すからEPをさらに出すっていう話で曲は向こうが選んだわけだけど、そこにまた’wandering’が入ったわけ」

H「モテモテじゃないですか、士魂でもあったし」

R「それから”bitter beats”から選ばれたりしたんだけど、意外と”beat bracelet”から選んでなくて」

H「で、その’wandering’は作り直してるんですか?」

R「いや”circuit’72″に入ってるオリジナル。しかも士魂のアナログも同じだから2回EPになってる。しかも他のレーベルから」

H「数奇な運命を辿って」

R「いわゆる代表曲みたいなことで」

H「自分からそうしてるわけじゃないですけどね。他人が勝手に決めてくれたっていう」



ibeatHOME CUT(以下H)「この後に”iBeat”?」

Riow Arai(以下R)「そう、この再発の流れと同じ年だからややこしいんだけど。だから2003年メチャメチャ出してるんですよ」

H「ミラクルな年ですよね、ある意味。勝手に色んな人が色んなことしてくれた感じですよね」

R「再発とニューアルバムを一緒の年にやっちゃったから。ホントは2002年にLEAFのがあればバランス良かったんだけど。それで次がニューアルバム”device people”の先行カットっていうか、これも訳ありの”iBeat”っていうのがあって。これは”device people”を作ってる時にはみ出した12分の長い曲で」

H「これはもう何曲合体してるんだ位のドラムの応酬で」

R「これは”device people”を作ってる時の過程で曲っていう概念がすっ飛んじゃったわけですよ、ビートを打ってたら」

H「”iBeat”は特にそういう感じがしますね」

R「そういうアイディアで。要するにサンプルネタがキーボードにガーッとアサインされてて色んなブレイクが入ってるわけ、ブレイクネタが」

H「アサインし過ぎじゃないですか」

R「大体いつもそれを叩きながらビートを絞ってトラックをまとめるわけだけど、それがイヤだなっていうか飽きたっていうか超えたいみたいなのがあって、メガミックスっていうかそういう感覚で打ってった」

H「ドラムメガミックスですね」

R「ブレイクネタメガミックスっていうか」

H「だからこれある種のリョウ・アライまたやっちゃいましたよっていうような一つのエポックメイキングな12インチですよね」

R「それで12分の曲をアルバムに入れるとバランス悪いよっていうのがあったから」

H「”Again”じゃないし」

R「アンビエントじゃないしってことで。それで”device people”のLPは2枚組で出すけども、その前に先行でEPを出すっていう話だったから、それに”iBeat”っていうのがあるって提案して。それであれは打ち込みじゃないんですよ」

H「アサインしたものを… 」

R「手で打って、要するにクオンタイズをしてない状態。10個以上のブレイクネタが並べてあって、それに準じた叩き方を即興演奏していって、それを40分録ったと。まずその40分のをMP3でupしたんですよ」

H「とすると元が40分の一発録りってことですよね。一発メガミックスっていうか、ドラムソロ」

R「そう、即興で40分。それでブレイクネタのBPMが各々違うから」

H「あれ一定じゃないですよね」

R「だからネタを叩いた時に体が勝手についていってるわけ。それで通して聴くとBPMがグニャグニャになってるんだけど」

H「後ノリになったりつんのめったり」

R「ネタが変わったらBPMもガタッとそれに合わせる感じで。その40分のやつをEP用に12分に編集して、12分というのはアナログのカッティングが片面12分だから。それで”iBeat E.P.”というのを出した。それでB面の曲も12分1曲のやつなんだけど、それは’non fiction’っていう曲で、それはまた逆の発想で1小節ループを12分鳴らしっぱなしで1回もブレイクなし。で、ウワものが全部即興。ドラムがループの代わりにウワものがフィルしっぱなし。それでこの’non fiction’の方は”device people”の最後の曲として収録してある。今まで大抵アルバムはメロウな曲で終わるんだけど、そうじゃないのがこの”device people”。最初はこのアルバムもメロウなやつで終わろうとして作りかけたんだけど、いいの出来ないからやめちゃって色々やってたらこういうのが出来たから12分だし、これ最後に持ってきたらいいかなと。壮絶なエンディングになってしまった」

H「結構ノイジーですよね」

R「昔のテレビの効果音とか使ってるからノイジーだっていうのがあるかも。そういうコンセプチュアルな12分の曲が2曲あって、それをEPで出した」

H「スゴイA面とB面ですね」

R「”iBeat”なんかはBPMが一定じゃないから、それを丸々1曲としてDJは使えないから、好きなとこだけ使ってくれと」

H「カットし放題ですからね」

R「そういった意味である種のネタ集みたいな」

H「あれはえらいネタが入ってますよね。ドラムがどんどん変わって」

R「普通はああいう風に一人セッションした後にいいとこ捕まえてそれをクオンタイズかけて構成するんだけど、そういうの全部とっぱらったっていうか」

H「普通あれイメージで言えば10曲出来る構成なんですよね。それを1曲にしちゃったってことですよね」

R「曲って言えるかわからないんだけどね。インプロの記録っていうか。だからそれをMacで細かくさらにエディットしてもいいんだけど、それはちょっとやめたんだよね」

H「いくらでも出来ますからね」

R「それだったら生のインプロのままで12分切り取って終わりっていうような」

H「だから次の”rough machine”に繋がるような荒々しさを感じさせますよね。それで曲タイトルなんですが’break literacy’、これズルいタイトルですよね」

R「それはまずメディアリテラシーっていう言葉があって」

H「メディアの使い方、パソコンを使いこなせる能力、ブレイクを使いこなせる能力っていうか(笑)贅沢なタイトルで」

R「誰もそういうとこ突っ込まないっていうか、意外とそういうキーワード入れてるんだけど気付かれない。タイトルとか見てないしね」

H「ここはね、黙っちゃおけないですね、文科系の人間としては。しかもこれメディアリテラシーって言葉があるくらいだから、造語として多分成り立ちますよね。でも完全に日本語英語的な感じはありますけど(笑) ズルいっていうか。それでエディットリテラシーとか使えるはずなんですよね。リテラシーシリーズというか」

R「ビートリテラシーとかね」

H「それで今回も全曲DJで使わせるぞっていう感じですよね、さらに」

R「自分でかける時も選択肢多い方がいいから。でもそれでも大体使うのが決まってきてしまうんだけど」

H「結局それなんなんですかね、自分の生理の問題もあるのかもしれませんけど」

R「ビートがガツガツきてるやつ10曲作ってるんだけど、その中で皆が好きなやつとか決まってきちゃうんだよね」

H「それはそうかもしれませんね」

R「大体似たようなことやってるんだけど」

H「”device people”っていうアルバムタイトルも前回に引き続き意気込みが伝わってくるタイトルで」

R「で、このアルバムに’mode down’も入ってるし」

H「それでModeDownが始まったのはこの辺りですか?」

R「いやModeDownは始まってないね。あれは2004年の秋だから”rough machine”の前だね」

H「いやーアルバムタイトルも力強いですよ。”device people”もそうだし”rough machine”もそうだし、”beat bracelet”以降決めましたって感じで意気込みは。ホント”mind edit”もそうですけど、’break literacy’もやられたなって感じで、使われたって感じですよ。元々リテラシーって文字書き能力… 」

R「読み書き能力」

H「それでメディアリテラシーって言葉があって、リョウ・アライさんに至っては’break literacy’、先に言葉作っちゃいましたって感じで」

R「”iBeat”もそうだけどね」

H「”iBeat”は… 」

R「iTunesとかAppleの」

H「それの’i’ですか」

R「iMacとかiPod。だからAppleが先に使う前に”iBeat”ってつけとこうかなって。そういうソフトはないわけだけど」

H「誰かが作っちゃいそうですよね」

R「誰かが作る前に」

H「その’i’から思い切りかけ離れた、思い切り生身のビートですから」

R「自分のビートってことで、”iBeat”。まーそれで’my beat’とかつけちゃうとね」

H「それパンクっぽいですね、マイビート(笑) ちょっとやんちゃな感じが。マイビートはちょっと強引な感じしますね。on my beatとかダサイっすね」

R「だから”iBeat”」

H「まーこの辺から男気溢れるビートが定着してる感じで」

R「あと音楽的な意味では言えば”beat bracelet”の時はビートだけとか骨組みだけとか、いい意味でね、そういう風に言われたんだけど、”device people”でさらに発展させるとしたらウワものを、骨だけじゃなくて肉もつけたいから、かといってメロディをつけるわけでもなくて、そうじゃないウワものを音楽的な要素を増やしたいというか。”beat bracelet”がスカスカだとしたら”device people”は少し詰まってる感じ、音数は増えてる」

H「単純な何かピアノのループみたいなのが足されてるわけじゃなくて」

R「それで多少ノイジーに聴こえるかもしれない。あとテレビとかからも録ってるし」

H「それって具体的に何に最初落としてるんですか?」

R「テレビからビデオだね。そこからラインでMDに。その後凄い音圧を持ち上げるから、ノイズが来るわけ」

H「サーッって感じですよね」

R「大体BGMとか効果音とか昔の番組が多い。”device people”の’intro.’のピアノなんかは昔のドキュメンタリー番組のBGMだったりするけど、そういうのもレコードでBillEvansでも何でもいいんだけど、そういうのでは絶対ないような音があるんですよ」

H「優れた一流のジャズミュージシャンじゃない人が作ったものに何かがあるっていう」

R「普通ネタ掘りっていうとドメジャーなジャズから段々マイナーなジャズにいってアメリカでもないどこかヨーロッパのジャズとかにいくわけだけど、そういう縦ラインじゃなくて例えば70年代の日本のテレビとか映画とかそういうレコードにもなってないような音源」

H「そういうものが意外に変だってことですか」

R「意外に変なことやってるんですよ、テレビとかのBGMって。そういう60年代とか70年代の録音だから、音の質感的にもサンプリングした時に面白いっていうか」

H「味が出る」

R「古いマイナーなジャズから録ってきてるのと同じといえば同じなんだけど。ネタ掘りってレコードだけじゃないってことかな」

H「なるほど」

R「70年代のドラムが音がいいよねって話が例えばあるとして、それを正規に発売されたレコードだけが対象なわけではなくて70年代のドラマのBGMでもそういう音がしてるわけ。だからそこから録ってるケースもあるということだね。邦画でも洋画でも何でもいいんだけど、レコードだけじゃないってことだね。レコードの方が音がしっかりしてるから使いやすいっていうのはあるんだけど、サンプリング=レコードからっていうのも変な話で」

H「そういう考え方しか基本的にないですからね」

R「ま−全部テレビの音だけで作ってるわけじゃないし、何でもいいわけだけど、この何でもいいっていう説明が難しいっていうか」

H「それはリョウ・アライが許す何でもいいですからね(笑) その線引きはリョウ・アライしかわからない」

R「例えばドラムブレイクがあって、それをなんで使ったかっていう説明が出来るかいったら出来ないみたいな。SPでキックとか録ってドンっていうのが5種類位あって、その中でこれだっていう選び方とか理屈じゃないから」

H「ドンがちょっとダーンしてるかなみたいな」

R「結局そこだけどね、そこでいいのを選べるかどうか」

H「そこで勝負しなかったら何で勝負するんだって話ですよね」

R「だからボツになった音もいっぱいありますよ。録ったけど使わないっていう」

H「そりゃそうですよね。あと前後関係もありますよね。このドーンはいいけど、その後のスネアと合わないかとか相互関係もありますよね」

R「ソウルのレコードでいいネタがあってブレイク録ってきて、このドラムいいっすよねっていうのがあったとしても、そのドラムだけで終わっちゃう場合もあるんだよね。いいですねって。実際問題そのネタを使ってオリジナルなトラックを作らないとならないから、そのドラムを5分ループさせて終わりじゃマズイから、そこから自分なりに組み換えたりとかウワものを足したりしないとならないわけで、そこが思いつかない時がある。それはドラムネタはいいんだけど、ドラムネタ以上のアイディアが自分で思い浮かばなかった、発展させることが出来なかったってことで曲が出来ないことがあるから、そこは難しい。ただループするんじゃなくて再構築出来るかどうかなんだよね。自分のものにするっていうか自分でチョップして全部打ち直して」

H「そこをまんまじゃなくて加工することが大事ですよね」

R「ただ色々やって再構築して元のネタのママの方がいいじゃんってなる場合もあるし、re-editする必要なかったなみたいな」

H「re-editするからにはオリジナルより良くないと。オリジナルより踊れたりとか」

end or ‘to be continued’……
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